国東半島大分県
Kunisaki Hanto
穏やかな海と美しい史跡が魅力の観光地
九州・大分県の北東部に位置する国東半島は、海を見渡せば、北に周防灘、東に伊予灘、瀬戸内海、南に別府湾というオーシャンビューを。そして山の方に振り返れば、両子山や峨眉山などがあり、山岳宗教・六郷満山の霊験あらたかな空気を味わうことができる地域となっています。
絶景と美食に出会う
国内十二の半島で
小さな建物のドアを開けると、その中は澤野さんのDIYによって、使いやすく整えられています。その奥に広がるのが作業スペース。機械2台と冷蔵庫、冷凍庫、水場というそのシンプルな佇まいに「本当にここで作っているの?」と誰もが驚くことでしょう。ひとつひとつ手作りをしている「ぽんカル」は、透かしちりめん/ピリ辛透かしちりめん/透かし貝柱/透かし海老/ピリ辛透かし海老、と全部で5種類。名前のとおり、持つと透けるくらいに薄いのが特徴です。
「シンプルに作られているからこそ素材が重要です」と笑顔で話す澤野さん。海に囲まれた江能倉橋島半島地域では素材に困ることはありません。車で走っていると、牡蠣の養殖もよく目にし、海はどこまでも美しく穏やか。試作を重ねながら開発したという機械が、その海の恵みの持ち味を最大限生かしてくれます。プレスした時にどんな形状になるのか何度も試した結果、各素材それぞれのベストなサイズ感や塩気を熟知している澤野さんは、素材選びから慎重なのです。
催事の時に持って行くという実演用機械。これで上田さんもぽんカル作りを試してみることに。一瞬ででき上がるということは目の前で見ていたものの、どうしても少し長めにプレスしてしまい、澤野さんに教わりながら何度か練習を重ねます。
上田さん:
工場の機械のコンパクトさに驚きましたが、この実演機械もまた小さいですね。
澤野さん:
100V300Wで約2kgと小さいです。スーツケースに入る大きさなんですよ。
上田さん:
プレスするだけでこんなにきれいで薄いぽんカルができ上がるなんて。
澤野さん:
プレスはしていますが、単にプレスしながら焼いているというわけではなく、1秒以下の一瞬で膨張させているんです。見ただけでは分かりづらいと思いますが、実はお好み焼きのノウハウが生かされているんですよ。
上田さん:
お好み焼きのノウハウ。なんだか急に身近に感じます(笑)。わあ! これ、うまくできていませんか? なんだかコツが分かってきた気がします。
澤野さん:
上手です。透けるくらいの薄さがポイントです。長く押しすぎないことですね。ちょっと体重を乗せる感じでプレスしています。
上田さん:
澤野さんは目標ややりたいことを見つけてはそれをクリアしてきていますが、今後の夢はありますか?
澤野さん:
あります。もう早速動き出しているんですよ。養蜂にも力を入れていて、群数を増やす計画中なんでです。本当に美味しい国産の蜂蜜は意外と殆どなく、新米の私が採っている蜂蜜でも美味しいと言ってもらえるんです。その蜂蜜をメインにしたお菓子を作ろうと考えています。
上田さん:
蜂蜜! 先ほどひと口頂きましたが、たしかにすごく美味しかったです。どんなお菓子なのか気になります。
澤野さん:
まだ秘密ですが名前だけ決まっていて、「QTハニー」という名前なんです(笑)。
上田さん:
可愛いです(笑)。楽しみにしています。
Kunisaki Hanto
九州・大分県の北東部に位置する国東半島は、海を見渡せば、北に周防灘、東に伊予灘、瀬戸内海、南に別府湾というオーシャンビューを。そして山の方に振り返れば、両子山や峨眉山などがあり、山岳宗教・六郷満山の霊験あらたかな空気を味わうことができる地域となっています。
日本でも有数の産地である大分県佐伯市の養殖ぶりは、脂の乗りがいいことはもちろん、さっぱりとしていて、香りが良く、血合いも鮮やかな一級品。
脂がしつこくないことから食べ疲れしないのが魅力なのだといいます。水揚げされたぶりは、漁協ですぐに下処理。頭と内臓を取り、三枚に下ろして中骨を取り除きます。さらに尻尾を落としたらフィレの完成。これを真空パックに詰められたものが「絆屋」に届けられます。
絆屋社長・中野さんがりゅうきゅうを商品化させようと考えたのは、新鮮な魚介を特産品としているこの地域にあっても、深刻な魚離れという現実を目の当たりにしたからだと言います。山形さんが、中野さんのりゅうきゅう製造にかけた想いを伺いました。
中野さん:
絆屋を立ち上げる前にも水産加工に携わる仕事をしていたのですが、年々、干物の売り上げは悪くなるばかりで、魚を食べる文化が失われているように感じていました。山形さんは、最近いつ干物を食べたか思い出せますか?
山形さん:
そう言われると、家で食べたのはずいぶん前のような気がします…。
中野さん:
私も同じです。この1カ月の間に、アジの開きや塩焼きを食べたかなって思い返すと、案外食べていないんですよ。調理するのにも、食べるのにも手間がかかるから、どうしても敬遠されてしまうのが原因です。この問題を解決するには、調理と食べるときの手間を極力省くことが重要なんじゃないかと気がつきました
山形さん:
そこで、りゅうきゅうに目をつけられたんですね。確かにパックから出すだけなら面倒臭さはありません。
中野さん:
でも、始めたころは周囲に馬鹿にされましたよ(笑)。「りゅうきゅうなんて、何でそんなもんをわざわざ作るんだ?」と。
山形さん:
そうなんですか?どうして、理解されなかったんでしょう?
中野さん:
りゅうきゅうは所詮、刺身の切れ端で作る“まかない料理”。言うならばB級グルメなんですよ。「余り物で作るような料理に真剣に取り組むなんて変なヤツだ」と、思われたんでしょうね。でも、馬鹿にしてきた人たちもりゅうきゅうの美味しさは知っているんです。
山形さん:
たしかに。美味しいから居酒屋さんでも定食屋さんでも、りゅうきゅうを定番料理として出しているんですもんね?
中野さん:
だから、この郷土料理をブランディングしようと決意しました。りゅうきゅうを立派な料理に昇華させて、魚を食べる文化を未来に繋いでいこうと思ったんです。
山形さん:
りゅうきゅうの製造現場を見学し「絆屋」社長の中野晃一さんの熱い想いと、スタッフのみなさんの丁寧な仕事ぶりに感銘を受けた、JALふるさと応援隊・大分県担当の山形さん。完成したばかりのぶりのりゅうきゅうを、中野さんおすすめのご飯の上に乗せてりゅうきゅう丼としていただくベーシックな食べ方でいただきました。
山形さん:
新鮮なうちに調理をおこなっているおかげでまったく魚に臭みがありません。たれがブリの脂でトロッとして、さらに濃厚になっているように感じます。これならペロリと一膳食べられてしまいますね。
愛媛県八幡浜市の駅前に工場と販売所を構える老舗かまぼこ店「くずし鳥津」。現在、社長を務める鳥津康孝さんは、2代目になります。くずし鳥津の前身となる「鳥津蒲鉾店」が創業したのは1960年のことでした。幼い頃から仕事に一徹な両親の背中を見て育った鳥津さんは、子供の時から脇目も振らず「大きくなったらかまぼこ屋になりたい」と思っていたそうです。大学を卒業した鳥津さんは、かねてからの希望通り鳥津蒲鉾店に就職。両親同様に、かまぼこやじゃこ天作りに情熱を傾けてきました。
昔ながらのこだわり抜いた製法で作られるじゃこ天は、地元の人たちにとってはお馴染みの味。「鳥津さんの作るじゃこ天なら安心して食べられる」といお店のファンの声援を糧に親子三代で日々商品作りに取り組んでいます。
「じゃこ天」、「前略、八幡浜から」(無添加じゃこ天の塩味・醤油味)、「たちうお巻」、「皮ちくわ」がセットになった「くずしセット」のうち、今回は「前略、八幡浜から」と「皮ちくわ」の製造現場に密着しました。
じゃこ天づくりは、午前8時からスタートします。作業場いっぱいに並べられたのは、ほたるじゃこという小さな魚。この日はトロ箱5つ分で、約75キログラム分のほたるじゃこを使って、じゃこ天を作るとのことでした。
飯田さん:
この小さな魚がじゃこ天の材料になるんですね。鮮魚店では、あまり見かけないような…。
鳥津さん:
ほたるじゃこ一匹では小さすぎて食べようがないですからね。だから鮮魚店には流通しないんです。じゃこ天の始まりは、大きい魚を水揚げした際に、一緒に水揚げされた小さな魚を練り物にしたというもの。そもそもじゃこっていう名前は、使いようのない魚という意味の“雑魚(ざこ)”が語源とも言われているんですよ。
飯田さん:
海の恵みを無駄にしないようにという知恵から生まれたんですね。
鳥津さん:
無駄にしないといえば、この下ごしらえの段階で頭と内臓を一緒に取り除くのですが、取り除いた部分も廃棄せず業者に持って行ってもらって飼料として再利用してもらいます。我々にとっては当たり前のことですが、昔からSDGsに取り組んでいたといえますね。
定番のじゃこ天には、ほたるじゃこの他に、太刀魚やひめちなどの魚も加えますが「前略、八幡浜から」は、よりシンプルな味を追求した商品のため、ほたるじゃこだけで作られています。
飯田さん:
じゃこ天を噛んだときの弾力に驚きました。プリプリですごく歯ごたえがいいですね。『前略、八幡浜から』は、通常のじゃこ天から余計なものを引き算した無添加の商品ということでしたが、シンプルなのに物足りなさはまったくしなくて、むしろ噛むほどに溢れ出してくる魚の旨味を楽しむことができるじゃこ天だなと思いました。それに、噛んでいるとミンチにされた皮のプニッとした弾力や、骨のコリッとした食感も感じられます。それが心地よくて、すぐに飲み込むのがもったいなくなります。
Uto Amakusa Hanto
熊本県中部にある宇土半島と九州本土と5つの橋で結ばれた大小120の島からなる諸島・天草は、大自然の恵みの中に浮かぶ島。豊穣の海と大地と、そこに暮らす人々の手が育む美味があります。
おろししょうがのおいしさ、香りはそのままに、まろやかで味わい深い瓶詰めの発酵生姜。おいしさの鍵は、無農薬で栽培されるしょうがと「発酵」にあります。商品誕生の経緯と、味づくりへのこだわりについて「LIFE FOODS DEPARTMENT」の櫻井理絵さんにお話を伺いました。
元は長崎で自家焙煎コーヒー店を営んでいた櫻井さんご夫妻は、移住・新規就農組。全国屈指のしょうが産地である、熊本県宇城市などで農業を学び、8年前に天草で田んぼと畑を借り、稲作としょうが栽培を続けています。
櫻井さん:
しょうがは体にいい食材。自分たちで育てたしょうがを使って何か作れないかと考え、開発したのが『発酵生姜』です。初めは有機粗糖で発酵させていたのですが、大分県日田市にある発酵研究所が開発した『梅の花乳酸菌』の存在を知り、加えてみたところ、味がよりまろやかになった。梅の花乳酸菌自体にも、免疫力向上などの作用があり、よりおいしく、体にもいいものになるのならば、と現在の形になりました。
商品の企画・開発は「LIFE FOODS DEPARTMENT」で行いますが、原料にする一次加工、商品にする二次加工を委託しているのも大きな特徴です。
櫻井さん:
理由は2つあります。ひとつは私たちの時間はなるべく畑仕事にさきたいから。8年やってみてわかったのですが、畑は手をかけたぶんだけ、それに応えてくれ、いい作物が実ります。もうひとつは、“手作り”や“自家製”を売りにするのではなく、本当においしい商品を届けたい。加工は加工のプロにお任せするほうが、商品開発に集中できると考えたからです。
フレッシュで、食感は滑らかな「発酵生姜」はどのようにできるのか。櫻井さんの案内で、天草市内にある加工所「あまくさピューレ kittoo」の田中博之さんを訪ねました。
田中さん:
ここは一次加工所。つまり、農作物を製品の“原料”にするところです。
神原さん:
「LIFE FOODS DEPARTMENT」の加工以外も手がけられているのですか?
田中さん:
はい。天草の20軒ほどの農家さんと取引をしています。農作物ができても、売りさばけない、無駄にするものが出てしまう。そんな農家さんの悩みを解決できたらと立ち上げた加工場なんです。
神原さん:
櫻井さんのしょうがはどのように加工されるのでしょうか。
田中さん:
工程はシンプルですが、大事なのは絶対に不純物が入らないようにすること。だから洗浄が命です。以前は手で洗っていましたが、今は家庭用の小型洗濯機で。
神原さん:
洗濯機!意外なものが活躍していて驚きました。
田中さん:
それでも最終的にはすべてをチェックし、残った汚れは手で取りのぞきます。無農薬無化学肥料のしょうがは皮も捨てずに使いたいので。
神原さん:
しょうがの皮まで使うんですか!
田中さん:
皮ごと使ったほうが、栄養価も高いですからね。あとは水気を切りフードプロセッサーでペーストにし、即冷凍します。すりおろししょうがの質感を残しつつ、繊維が口に残らないよう仕上げるのがこだわりです。
神原さん:
大切に育てられたしょうがが専門の加工所でペーストに。これもおいしさの秘密なんですね。
「のどぐろとハタハタのアヒージョ」が誕生したきっかけは、地元の水産会社から「網にかかってしまった小さいのどぐろを何とか活用できないか」という相談が持ち込まれたことから。小型ののどぐろは市場価値が低く、流通しないことがほとんどです。未利用魚として無駄になってしまうのどぐろの有効活用を目指し、試行錯誤を重ねて美味しい一品を完成させました。
のどぐろは頭と尾、内臓を取り除き、骨ごと食べやすい大きさにカットします。さっと塩水に浸けて、下味を付けつつ魚特有の臭みを抜いたのちにオーブンへ。表面に程よい焼き色が付くまで軽く焼きます。「この工程により香ばしい風味がプラスされ、身崩れもしにくくなります」と山崎さん。
焼き上がったのどぐろを瓶に詰めたら、加えるのはにんにくスライス、赤唐辛子、オリーブオイルのみ。山崎さん曰く「いろいろな調味料を入れては試食を繰り返しましたが、のどぐろを生かしてシンプルに仕上げるのが一番美味しかったのです」とのこと。最後に瓶ごと圧力釜に入れて加熱・加圧をします。30分ほどじっくり熱を加えることで、のどぐろの硬い骨がほろりと柔らかくなり、丸ごと美味しく食べられるようになります。
「地元素材を取り入れて、出雲の魅力を全国に伝えたい」
徳田さん:
島根県外に住んで、子どもの頃から慣れ親しんでいた出雲食材の美味しさを実感しました。出雲では魚は一尾丸ごとを買ってきて自宅で捌くのが当たり前でしたから、関東で暮らし始めたときは売り場に切り身ばかりが並ぶ光景に少し驚いたりして…。
山崎さん:
島根ののどぐろ漁獲量は全国的にも多く、宍道湖のしじみも特産品ですよね。出西生姜や仁多米といった、この土地ならではの農産物もあります。ぶどう栽培も盛んですし、山海の素材に恵まれていると思います。
徳田さん:
そういう島根の魅力をもっと知ってほしいですね。
山崎さん:
弊社でも、従来からある「ワインジャンボ」のように、地元産の食材をもっと使ってロングセラー商品の開発・展開をしていきたいと思っています。現在、練り物を生産する本社工場と、アヒージョなどを生産している浜町工場があるのですが、新しい浜町工場はフル稼働していません。商品を充実させて工場を動かせば、雇用も増えて地元に貢献できると考えています。
徳田さん:
これからも地元・出雲に根付いた発展を目指されているのですね。
山崎さん:
そうですね。地域密着型企業として島根・出雲の素材をどんどん取り入れ、練り物製造に長年携わっている強みを生かしつつ、優れた商品を開発していきたいと思っています。いいもの美味しいものを発信して、全国の皆さんに島根の魅力を伝えられたら嬉しいです。
Tango Hanto
美しい海景を堪能できる丹後半島は、“海の京都”とも呼ばれ、訪れる者の心を開放してくれる名勝に溢れています。日本三景に数えられる天橋立もその一つ。全長約3.2キロメートルの砂嘴(さし)でできた砂浜で、大小合わせて約8千本もの松が茂っている珍しい地形です。
丹後ジャージー牧場の原点は1949年。現社長の平林衛さんのご両親が、久美浜町で1頭の乳牛を飼ったことが始まりでした。その後、酪農組合を設立し、牛乳処理営業の許可を取得。地域のスーパーや学校給食に牛乳を供給する「平林乳業」が設立され、そこから牧場事業部門が独立するかたちで、2000年に現在の丹後ジャージー牧場が誕生しました。 伸び伸びと育った牛たちからは、毎日450リットルほどの生乳が採れるのだと、専務の平林学さんが教えてくれました。
平林さん:
たくさん獲れているように聞こえるかもしれませんが、一般的なホルスタイン牛であれば、この約2倍の量が獲れます(ホルスタイン牛一頭あたりの乳量が約45リットルに対して、ジャージー牛は約20リットル)。餌の量はホルスタインもジャージーも変わらないので、コストはどうしてもかかってしまうんですよ。それでも美味しい牛乳を届けたいという一心でジャージー牛の飼育にこだわっています
丹後ジャージー牧場のすぐ隣にある「ミルク工房そら」は2004年にオープンし、ジャージー牛乳を使った加工品を製造販売しています。2009年からは、イートインも楽しめるカフェもスタート。週末限定のピザランチも大盛況です。平林さんにカフェ事業を始めた経緯について聞くと「牧場のそばにカフェを併設するというのは、意外にハードルが高いことなんです」と教えてくれました。
店内に入るとバラエティ豊かなアイスクリームのショーケースに目が釘付けに。JALふるさと応援隊の小島さんは、イートイン1番人気の「ソフトクリーム」に2種のジェラート―大好きだという「チーズ」と“幻のメロン”と呼ばれる丹後半島特産の「新芳露メロン」―の贅沢なトリプルの“ソフジェラ”をいただきました。まるで欧米のアイスクリームショップで食べるような、たっぷりの盛り付けに自然と笑顔が溢れます!
小島さん:
ソフトクリームやジェラートに使われているのはすべて同じジャージー牛乳なのに、それぞれ違ったミルク感があって驚きです。ソフトクリームは、しっかりとしたコクがあって濃厚。それなのにすっきりとした後味で、余計な甘みが残りません。ジャージー牛乳自体の甘さが感じられる味わいでした。チーズもあっさりとした口当たりですが、後味にしっかりとチーズを感じます。鼻をふっと抜けるチーズの香りがたまりませんね。
小島さん:
メロンは『ミルクとこんなに相性が良いなんて!』という発見がありました。ジェラートなのに、メロンの果実そのものを食べているかのようなフルーツ感です。丹後ジャージー牧場のミルクは主役にもなれるし、素材の味を引き立てる名脇役にもなれるところがすごいですね!
Noto Hanto
2011年、世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」。その代名詞とも言える白米千枚田は日本海に面した急斜面にあり、豊かな海と山の眺望を楽しむことができます。
フローズンヨーグルトとアイスミルクの味の決め手は、能登産のフルーツをたっぷり使ったジャム。そのジャムをしっかりと練り込むことで風味豊かなアイスになるのです。それぞれの食材について能登町ふれあい公社「のとのファクトリー」の雨池さん・高尾さんにお話をお聞きしました。
雨池さん:
ブルーベリーは大きく分けて、果実が大きく柔らかい寒冷地向けの『ハイブッシュ』系と、風味がいい暖地向けの『ラビットアイ』系という品種があります。能登町は2種類どちらも植えられるブルーベリー栽培に向いた環境だと言えるかもしれません。毎年、ハイブッシュは6月から7月にかけて、ラビットアイは7月末から8月末頃に収穫されます。フローズンヨーグルトにはハイブッシュ系が品種として向いています。
雨池さん:
いちごジャムには赤崎で採れる”幻のいちご”を使用しています。
赤崎いちごは果肉が柔らかく甘みが強い品種なのですが、足が早いという商品なんです。そのため、ほとんど市場に出回らないことから”幻のいちご”と呼ばれています。この味を全国のみなさんにご紹介したいという想いから赤崎いちごのジャムを作り始めました。ジャムに使ういちごは、規格よりも少し小ぶりな物を農家さんから仕入れています。大きないちごも魅力的ですが、ジャムにするには小粒ないちごの方が、甘みも酸味も効いているので美味しいんですよ。
ゴロッとした果実感がなんとも贅沢なブルーベリージャム。濃厚でしっかりとした余韻を楽しむことができるこのジャムは、トーストやヨーグルト、アイスのソースにするなどさまざまな場面で活躍します。このジューシーなブルーベリージャムはどのようにして作られているのでしょうか。製造工場を取材しました。
橋向さん:
ものすごい量ですが、一度にどれくらいの量のブルーベリーを仕込むんでしょうか?
高尾さん:
ひと釜で50キロほどの量になりますね。多いときで2釜炊いていきます。ジャムには、酸化防止のためのビタミンCや固めるためのペクチンを加えていますが、あとはブルーベリーとグラニュー糖だけ。できるだけ余計なもの加えず、能登のブルーベリーを味わってもらえるように作っています。
橋向さん:
すごく甘い匂いが立ってきました。煮込んだブルーベリーがソースのようになっていますが、この水分はすべてブルーベリーから出てきたものなんですね。調理の際に気をつけていることは何でしょうか?
高尾さん:
高温でしっかりと煮詰めていくこと。これによってブルーベリーの味が凝縮されていきます。混ぜるときには、果実を潰さないように優しく混ぜることが重要です。あとは、グラニュー糖をダマにならないように3回に分けて入れるところもポイントですね。この作業を1時間続けていきます。
橋向さん:
50キロのブルーベリーを1時間混ぜ続けるなんてすごい重労働ですね! 筋肉痛になってしまいそうです(笑)。
Minamibousou Hanto
夏は涼しく、冬は暖かい海洋性の温暖な気候に恵まれた南房総半島は、色彩豊かな花々、青く澄んだ海、緑深い山々に恵まれた関東有数のリゾート地。都内から車で1時間半程度のふらっと出かけられる距離にあり、関東近郊に住む人たちにとっては、日ごろの疲れをリフレッシュできるオアシスになっています。
のこぎり山バウムクーヘンの製造工程を解説してくれたのは、工房の統括をする川﨑さん。材料へのこだわりから教えてくださいました。
川﨑さん:
のこぎり山バウムクーヘンの味を支えるのは、君津で生まれた菜の花たまごと三芳村の牛乳。菜の花たまごは農林水産大臣賞を受賞している卵で、卵黄の鮮やかな色と濃厚な味が特徴です。三芳村の牛乳は、酪農発祥の地と呼ばれる房総の自慢のミルク。低温殺菌をしているので、栄養や風味を損なうことなく搾りたてそのままの味わいが生きています。鋸山という地名だけでなく、地元の食材をしっかりと活かしているところが、のこぎり山バウムクーヘンをこの地で作る意味になっているんです。
工藤さん:
たしかに卵の色が鮮やかなオレンジ色ですね。生地には他にどんな材料を加えているんですか?
川﨑さん:
薄力粉、砂糖、バター、アーモンドパウダーなど特別変わったものは入れていませんが、他と少し違うのはナツメグを加えているところですね。ほんの少ししか入れていないのですが、スパイシーな香りを演出してくれます。
工藤さん:
この生地でどれくらいの量のバウムクーヘンができるんですか?
川﨑さん:
このボウルひとつで1回に焼く半分の生地なので、その倍の材料でバウムクーヘンのバーを12本分焼きます。
バウムクーヘンの年輪が12層めに到達。ここからトレードマークの凹凸がつけられていきます。
川﨑さん:
ここから木型を押し当てて、“のこぎり”の形を作っていきます。
工藤さん:
押し当てられた部分の生地が流れ落ちていきますね! すごく難しそうです。
川﨑さん:
この作業は慣れるまではすごく難しいんですよ。角度に気をつけないとバウムクーヘンを引っ掻いて傷つけてしまうし、少しでもずれてしまうとせっかく作った山形を削ってしまいます。
川﨑さん:
12本分のバームクーヘンに木型を押し当てながら、生地の追加と生地を最適な温度に調整する作業、オーブン全体の温度調節、焼き加減のチェック、大きさの確認まで同時に行わなければいけないので、ここが一番の山場です。
工藤さん:
焼いたばかりのバウムクーヘンって何もつけていないのにこんなに艶やかなんですね!
川﨑さん:
夏は湿度が高いのでしっかりめに。冬は乾燥するので優しめに。焼き上がりの温度も調整することで艶の出方も変わってくるんですよ。
Shimokita Hanto
本州の最北端に位置する青森県の下北半島は、自然が造りあげた神秘的な岩々が美しい仏ヶ浦、天然記念物・寒立馬が生息する尻屋崎、津軽海峡を挟んで函館まで見渡せる大間崎など1日では回りきれないほどの絶景スポットばかり!また、自然環境に恵まれた青森県は全国でもトップクラスの食料自給率を誇ることでも知られています。
インドネシア、シンガポール発祥のケーキ・クエラピスを紹介し、日本に新たな食文化を広めたビッグオーシャン。金属加工を生業とする会社が製菓を始めたきっかけは、海外での衝撃的な出会いにありました。JALふるさと応援隊の大神田遥さんが、ビッグオーシャン社長の和田信一郎さんに当時のことを伺いました。
和田さん:
宝栄工業グループは、自動車部品をはじめとしたモノ作りの企業として発展してきた歴史があります。次なる使命は食品の世界に足を踏み入れることでした。ただ、せっかく新しいことを始めるのに、すでに流行っているものを追いかけても革新は生まれません。『バウムクーヘンやミルフィーユ、ワッフルなどにつづく、まだ日本ではまだ知られていないお菓子は何かないかな』ということを模索しているときに、出張先のシンガポールで聞いてみたんですよ。『シンガポールで流行っているお菓子は何?』と。そしたら即答で『クエラピスだよ』と返ってきたんですね。
大神田さん:
クエラピスはシンガポールでは誰もが知っているお菓子だったんですか?
和田さん:
お祭りやお祝いなどハレの日に食べるお菓子として向こうの人たちにはお馴染みで、洋菓子店はもちろん、家庭でも作られているケーキだっていうんですよ。食べてみたら雷に打たれたような衝撃を受けましたね。エスニックな香りがしてスパイシー。これは日本に持ち帰りたい味だと思って、その場で大人買いしました(笑)。それをすぐにシェフのところに持って行って、これを再現できないかと相談しました。
和田さん:
せっかくなので、食べてみてください。こうやって切ってみると断面が綺麗でしょ?
大神田さん:
本当ですね。層が年輪のように綺麗に入っていて写真映えしそうです。バウムクーヘンのような食感なのかなと想像していたのですが、それよりもしっかりとしていて食べ応えがありますね。生地が詰まっているのにしっとりとしていて食べやすいです。アップルはりんごがゴロッと入っていて香辛料の効いた生地ととてもマッチしています
和田さん:
スパイシーな味だからこそ、お酒とも相性がいいんですよ。プレーンはウイスキーの水割りと合いますし、アップルは赤ワインと合わせるとお酒のお供としても楽しめますよ
Oga Hanto
秋田県から日本海側に突き出した男鹿半島。360度さえぎるものなく見晴らせる寒風山や、半島南東部の連続する海食崖の絶景、重要無形民俗文化財に指定されている来訪神・なまはげなど、見どころ満載の男鹿半島は食の宝庫でもあります。
杉渕さん:
男鹿
しょっつる焼きそばは、秋田内陸の横手やきそばとは違う、男鹿の海をイメージした焼きそばができないものかということで、男鹿市商工会の有志が集まって商品開発が始まりました。麺のこだわりは、昆布とわかめを練りこんでいるところです。噛むと海藻の香りがふわっと香るようにしているんですよ
佐々木さん:
他の麺とは違って綺麗な緑色をしていますね。それにすごい量! 一度に何食分の麺を作っているんですか?
杉渕さん:
いまミキシングしているのは約500食分ですね。緑の色を出しているのはわかめの粉末です。昆布だけではこの色にはなりません。わかめの粉末をちょっと舐めてみますか?
佐々木さん:
抹茶のような濃い色をしていますね。ひとつまみ口に入れただけなのに、磯の香りが口いっぱいに広がって、わかめのフレッシュさが伝わってきます
杉渕さん:
三陸産の国産わかめだからこそ出せる味と色なんですよ。海外産だともう少し色もくすんでしまうし、苦味が出てきてしまいます
杉渕さん:
次はシートにして巻いていきます。このときしっかりと潰すことが麺のコシに繋がるんです。よかったら触って弾力を確かめてみてください
佐々木さん:
さすが125食分の生地! 1ロールがものすごく大きいです。生地の触り心地はしっとりとしていて弾力があります
杉渕さん:
小麦粉は、練ったり潰したりすることで、2種類のタンパク質が結びついてグルテンという物質を作ります。これが麺のモチモチ感の正体です。シート状にした生地は1時間寝かせて空気を抜いてから裁断作業に移ります
佐々木さん:
しょっつる焼きそばを作るときは、麺にどんな加工をするんですか?
杉渕さん:
中太麺でややちぢれさせるようにしています。ちぢれ加工をすることで麺にタレが絡みやすくなるんですよ。この機械で長さ、太さ、ウェーブの加減などをコントロールして、商品ごとに麺の仕様を変えています。1日に2?3万食を作っているので、製麺機は大切な相棒ですね
佐々木さん:
こうしてスムーズに麺がカットされて、気持ち良く袋詰めされていく様子はいつまでも見ていられますね
杉渕さん:
私自身、自作でオーディオを作るくらい機械いじりが好きなので、製麺機はどれだけ見ていても飽きないですね。ちょっとした故障なら自分で直してしまうほどです(笑)
Oshima Hanto
渡島半島南側にある函館市には函館山や五稜郭など観光名所が数多くありますが、せっかくならもう少し足を延ばして見ませんか?北へ向かって車を走らせると、青々と生い茂る草原と青空のコントラストが美しい絶景スポット。そして、大自然に育てられた絶品グルメがあなたを待っています。
篠原さん:
ソシソンセックはドライソーセージですが、脂がとてもジューシーです。臭みが全然なくて『これが新鮮なお肉を使っているということか』と実感しますね。噛むほどに脂の甘みが広がって、赤身部分からはじゅわっとコクが溢れてきます。黒胡椒のインパクトもあって、ワインにもよく合いそうなお味ですね。
広大さん:
ブラックペッパーが味の決め手になっていますが、そのほかに13種類のスパイスを加えています。こだわりは1カ月かけてしっかりと熟成しているところ。日本でよく作られているサラミは、アミノ酸を添加して数日で作ってしまうのですが、本来はタンパク質を分解して旨味に変えていく作業が必要なんです。白カビをつけて、徐々に温度と湿度を下げていくことで、水分が抜けて旨味が凝縮されたドライソーセージになります。
篠原さん:
ペッパーベーコンは、厚切りでよりしっかりと若松ポークマンのお肉感を味わえました。燻製の香りが豊かで、こちらもペッパーが効いていてスパイシーですね。ベーコンにしっかり旨味があるので、ジャーマンポテトの具材として入れてもしっかりと存在感を感じられそうです。
広大さん:
通常、ベーコンはバラ肉を2?3日塩でマリネしてから燻製にかけて作るのですが、うちでは7~10日間くらいのマリネ時間をとっています。そうするとしっかりと肉の旨味が出てくるんですよ。燻製には北海道産の桜のチップを使っています。ビールやワインにはもちろん、意外に日本酒と合わせてもおいしいんですよ。
篠原さん:
レバーペーストはしっとり滑らか。臭みがないのですごく食べやすいです。後味はすっきりとしていて、レバーの風味が香る大人の味。クラッカーやパンにつけて楽しみたいですね。
広大さん:
一般的なレバーペーストよりもレバーの分量を多く入れているんですよ。それでも、若松ポークマン自体に臭みがないからこそあっさり食べられます。火を入れる際に、北海道産のバターや生クリームを加えているので、クリーミーな仕上がりになるんです。
Shakotan Hanto
どこまでも続く真っ青な北の海=「シャコタンブルー」が美しい海岸線と、フルーツの香りが漂う緑豊かな丘陵地帯.....。北海道西部に突き出た積丹半島は、海&山に恵まれた豊かな土地を誇っています。
中谷さん:
牡蠣のアヒージョは食べたことがありますが、あわびのアヒージョは初めてです。お刺身でいただくような生のあわびはコリコリしていますが、熱が入っているので柔らかく弾力があります。噛めば噛むほど、旨味が口のなかに広がり、すごく贅沢な気分。あわびの肝はあまり食べたことがなかったですが、濃厚な味わいでクセになります。あわびとオリーブオイルのソースの美味しさが混じり合ってビールのおつまみに最適な味ですね。
中谷さん:
この商品を作ろうと思ったきっかけは何ですか?
石塚さん:
僕がビール党だったことなんです(笑)。港町の水産加工品って日本酒に合う商品が多くて、最初にこの仕事を手伝うようになったときから「自分と同世代にも受け入れられるビールやワインなどの洋酒に合う商品を作りたい」という気持ちがありました。ちょうど、仁木町の北海道ワインなどを広めるワインツーリズムが盛り上がってきて、地元ワインと並べられる商品づくりをしようという動きがあり「えぞあわびのアヒージョ」を開発し始めました。
中谷さん:
開発にあたって、どんなことを工夫されたんですか?
石塚さん:
ニセコリゾートやキロロリゾートのシェフからアドバイスをもらって、塩味のバランスや調理法には試行錯誤をしましたね。オリーブオイルにつける前に一日塩漬けするというアイデアはシェフからいただきました。そうすると身に塩味が沁みて、オイルに塩を加えるよりも味の浸透がよくなるんですよ。加熱法もシェフのアドバイスを参考にしました。「えぞあわびアヒージョ」はじっくりと加熱することで、柔らかさや弾力を出しつつ、あわびのエキスをオイルにうまく移すことに成功しました。
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