旅がテーマ。『JALアートサロン』第4弾

人気イラストレーター、イマムラ氏による『JALアートサロン』描きおろし作品第4弾。
『JALアートサロン』では一貫して「旅」をテーマに作品を制作しているイマムラ氏。
リアルとアンリアルが作品の中に混在している氏の作品だが、
本作品はさらに旅の持つ「現実性」と「非現実性」をイマムラ氏らしく表現し作品の中で楽しんでいる。

日常の風景を舞台に、夢や希望、喜びや悲しみの感情を
“現実”と“空想”で表現する若き期待のアーティスト！！

イマムラのセンス溢れる謎解き作品

本作品、ぱっと見は旅支度をしている様子が描かれているように思える。
もちろん作品のテーマの本筋はそうであろう。
しかし、よく見ると細かい部分の表現がなんとも謎解きのようで面白い。

まずは画面の中央にあるスーツケース。
蓋の裏側は何とモニターになっていて、そこには「GREAT JOURNEY」の文字と世界地図らしきものが。
そしてスーツケースのサイドからは電源コードが出ている。もうこの時点ですでに非現実な描写。

主人公の“カノジョ”のうしろにある本棚には本がびっしり。しかし背表紙は国内はじめ
世界各国の空港や都市を表記するスリーレターコードが記されている。
シャルル・ド・ゴール、バンコク、セブ、バンクーバー、ケアンズ、ニューヨーク、
岡山、熊本、北九州、石垣島　etc・・・
それは“カノジョ”が今までに旅した訪問地なのか、これから旅をしたい街のリストなのか。
まるで壁いっぱいに張られた大きな世界地図のようでもある。

“カノジョ”の着ているブルゾンは、空港整備士が着る作業用ジャンバーに見えなくもない。
イマムラは本作においても目一杯「旅」のエッセンスを盛り込んでいる。

ところで「Now Loading」というタイトル、スーツケースの内側をモニターに見立てていることから
IT用語を掛けたイメージタイトルかと思いきや、実はLoadingには「荷積み」「荷揚げ」という意味もあるのだ。
「そうきたか！！」イマムラ氏のこの細やかなセンスにあっぱれと感服。

そして作品中の黒猫と白猫。イマムラ氏のことだからきっと何か意味があるに違いないと、
こちらも負けずと疑ってかかる。

黒猫は神秘的、魔術的なイメージを持つ。
一方、白猫は純粋さや現実的な存在として捉えられることがあるという。
この組み合わせ、「目に見えないものと見えるもの」、あるいは「夢と現実の間の関係性」を
暗示しているように思える。これはまさに「旅と日常」という言葉に置き換えることができるのだ。
イマムラ氏がここまで深く意味を持たせて2匹の猫を描き込んだかは、正直わからない。
しかし、黒猫がスーツケース（旅）の近くに、
そして白猫がソファーの脱ぎっぱなしの洋服（日常）の上にいるということは、
とても偶然の構図とは思えない。ここでもイマムラ氏にやられたとしか思えない。

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  スーツケースの裏側がモニターに！！

  Loadingには「積み込む」という意味も…

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  沢山の3レターコードが並ぶ本棚

  白い”付箋”？にはどんなメッセージがあるのか・・・

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  整備士を連想させる装い

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  直筆のエディション番号とサイン

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  銀座での個展（2023年）

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  好評だったカナダ・バンクーバーでの個展風景（2023年）

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  多くの人が来場したカナダ・バンクーバーでの個展風景（2023年）

最後の謎解き

実は、本作品の中に飛行機が一か所だけ描かれている。
イマムラ氏の小粋でセンスに溢れ、ウィットに富んだ作品の最後の謎解き。
皆さんに見つけていただくために、答えは書かないでおく。