お年賀の意味
お年賀は、年始の挨拶として日頃お世話になっている方へ渡す贈り物です。
日本では古くから、年始に年神様(としがみさま)や仏様へお供え物を持参する習慣があり、それがお年賀の由来といわれています。
年始のお供え物は『御年魂(おとしだま)』といい、これが現代のお正月の習慣である『お年賀』や『お年玉』として残っています。
門松を立てたり、鏡餅を供えたりすることも年神様を祀(まつ)る習慣の名残です。
このように昔から続く習慣が、現代では日頃の感謝と「今年もよろしくお願いします」という気持ちをこめた年始の挨拶とともに贈るお年賀となっています。
喪中はお年賀を贈らない
喪中は、お祝い事や派手な行事を控えて喪に服すのが一般的です。
そのため、年賀状での挨拶や初詣なども控えて過ごすのが望ましいとされています。
お年賀には「新年を慶ぶ(よろこぶ)」というお祝いの意味があるため、喪中の相手には贈らないようにするのが基本です。
年賀状や新年の挨拶も同様に、「おめでとうございます」というお祝い事を意味する言葉は避け、「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いします」といった挨拶のみを伝えるようにしましょう。
お年賀の代わりになる品物
喪中だからといってすべての贈答や挨拶を控えなければならないというわけではありません。
年末年始は、お歳暮や寒中御見舞、寒中御伺などをお年賀の代わりに贈ることができます。
基本的には、お年賀を贈る期間である1月1日から松の内を避けるのが好ましいです。
お年賀の代わりに贈る場合の時期と表書き
贈る時期 | 表書き |
---|---|
1月1日~松の内(関東1月7日、関西1月15日頃)まで |
御礼 ご挨拶 |
松の内明け~立春(2月4日頃)まで |
寒中御見舞 寒中御伺 |
自分が喪中の場合
自分が喪中の場合は、喪が明けるまでお祝い事に関する贈り物を控えるのが一般的です。
そのため、寒中御見舞や寒中御伺、手土産などの名目で贈り物をするのが好ましいとされています。
新年に実家への帰省や、知人の家に挨拶に行く際、手ぶらだと憚(はばか)られるという場合は、手土産やご挨拶として品物を贈ることができます。
寒中御見舞や寒中御伺の時期が過ぎてしまった場合は、『御礼』や『ご挨拶』として手土産を持参して相手を訪問することも可能です。
また、信仰や宗派によって“死”の扱いや遺族の行動が異なるため、贈り物をする際は相手への配慮を忘れないことが大切です。
信仰や宗派による“死”の扱いの違い
信仰・宗派 | “死”の扱いや行動 |
---|---|
仏教 |
輪廻転生の考え方があり“死”に対してネガティブな意味合いを持たない 新年の挨拶やお年玉などの風習は問題ない |
神道 |
「死は穢れ(けがれ)」と考えられている 四十九日の法要を迎えるまでは外部との接触を避ける風習があるため、贈り物には気をつける |
相手が喪中の場合
故人が亡くなってから日が浅い忌中の場合、お年賀は控えることがマナーです。
忌中は、故人が亡くなってから四十九日の法要を迎えるまでの期間を指します。
忌中や喪中であっても、相手を思いやる気持ちを伝えたい場合は、寒中御見舞や寒中御伺として贈るのがおすすめです。
寒中御見舞は時候の挨拶であり、お祝い事には当たりません。
そのため、喪中の相手に贈っても問題ないとされています。
喪中に贈り物をする場合の注意点
お年賀を贈る代わりに寒中御見舞や御礼、ご挨拶として贈り物をする際は、通常の贈り物とは異なるポイントがあります。
贈る際は相手を気遣う気持ちを忘れず、正しいマナーで失礼のないようにしましょう。
ここでは、喪中に贈り物をする際の注意点について解説します。
『のし』や『水引』に注意
喪中の場合は適切な『のし(熨斗)』や『水引』を使用する必要があります。
通常のお年賀では、紅白蝶結びの水引が書かれたのし紙を使用しますが、喪中の場合は使用しません。
寒中御見舞やご挨拶として贈る際は、白無地の掛け紙を使用します。
白無地の短冊のしでも使用できますが、短冊のしは略式ののし紙ととらえられる場合もあるため、目上の方へ使用するのは避けるのが望ましいです。
掛け紙の表書きは、中央上半分に『寒中御見舞』『寒中御伺』『ご挨拶』『御礼』などと書き、下半分に贈り主の氏名を書きます。
お年賀ののしについては、こちらで詳しく解説しています。
故人宛には贈らない
故人宛に贈り物をするのはマナー違反であるため、控えることがマナーです。
故人宛に贈り物をすることで、残された家族に辛い思いをさせてしまう恐れがあります。
ただし、故人以外の家族とも付き合いがある場合、家族の名前宛であればお年賀を贈っても問題ありません。
家族との付き合いがない場合は、寒中御見舞や寒中御伺を贈る必要はないとされています。
挨拶状に添える言葉に気をつける
贈り物に添える挨拶状には、お祝いの言葉を避ける必要があります。
「あけましておめでとうございます」や「謹賀新年」など、新年を祝う言葉の使用は控えるのが好ましいです。
挨拶状にはお祝いの言葉ではなく、時候の挨拶や昨年お世話になったことへのお礼、相手を思いやる言葉など、贈る相手に配慮した内容を書くように心がけましょう。
故人宛の贈り物を受け取った場合
自分の身内に不幸があった際、故人宛に寒中御見舞やご挨拶が届いた場合には、お礼状で相手に感謝を伝えるのがマナーです。
故人宛に贈り物が届いた場合、贈り主が故人の不幸を知らない、または故人の不幸を知る前に品物を贈っているという可能性が考えられます。
相手が故人の不幸を知らずに品物を贈っていると考えられる場合は、「○○は○月○日に永眠いたしました。
ご通知が遅れましたことをお許しください。
」と、お知らせするのが遅れたお詫びと当人が亡くなったことを知らせる内容を書き添えます。
喪中にはお年賀の代わりに寒中御見舞やご挨拶を贈ろう
お年賀は新年を祝う意味がある贈り物です。
喪中の場合は喪に服すのが基本ですが、名目を替えることで贈り物をすることは可能です。
自分が喪中の場合は、手土産やご挨拶として贈り物をすることが望ましいです。
また、相手が喪中の場合は、寒中御見舞やご挨拶として適切な時期に贈り物をすることで、日頃の感謝や相手を気遣う気持ちを伝えることができます。
喪中に贈り物をしたい場合は、掛け紙の注意点や故人宛に贈らないこと、挨拶状の内容などのマナーに気をつけ、普段の贈り物以上に相手への配慮や気遣いを忘れないことが大切です。