お年賀とは?
お年賀は『おねんが』と読み、『三が日』(1月1日~1月3日)にお世話になっている方へ新年の挨拶とともに渡す贈り物(手土産)のことです。
昨年お世話になったお礼と「今年もよろしくお願いします」という気持ちを伝えるために渡します。
お年賀は、日本の古くからの文化である新しい年の神様をお迎えして祀(まつ)る習慣が由来といわれています。
古来、お正月の挨拶をする際には、神様を祀る神棚やお仏壇へのお供え物として『御歳魂(おとしだま)』を持参していました。
現代では、そのお供え物が新年の挨拶回りに持参するお年賀になったと考えられています。
贈る相手と予算相場
お年賀は、実家の両親や親戚、職場の上司、取引先など、目下の人から目上の人へ贈るのが一般的です。
予算相場は3,000円程度ですが、安価すぎても高価すぎても失礼に当たるため、贈る相手や付き合いの程度によって金額を考慮するのが望ましいといえます。
贈る相手と予算相場
贈る相手 | 予算相場 |
---|---|
両親や親戚 | 3,000円程度 |
ご近所の方 | 2,000円程度 |
友人や知人 | 1,000~3,000円 |
会社の上司や取引先 | 3,000~5,000円 |
なお、両親へのお年賀を現金で渡すこともありますが、その場合は1万円程度が相場です。
その際、マナーとして新札をポチ袋に入れて渡しましょう。
お年賀の相場については、こちらで詳しく解説しています。
お年賀とお歳暮の違い
お年賀とお歳暮は、どちらも日頃の感謝と今後のお付き合いへの願いをこめて贈る贈り物です。
ただし、由来や贈る時期が異なります。
お年賀とお歳暮の違い
項目 | お年賀 | お歳暮 |
---|---|---|
目的 | 旧年中の感謝と新たな年の挨拶を伝える | その年にお世話になった感謝と今後のお付き合いを願う気持ちを伝える |
由来 | 年始の挨拶と年神様(としがみさま)へのお供え物である御歳魂(おとしだま)が由来 | 日本古来の年末に先祖の霊を迎えて祀る『御霊祭(ごりょうまつり)』へのお供え物が由来 |
時期 | 年の初め 1月1日~1月7日頃まで |
年の暮れ 11月末~12月末まで |
お歳暮については、こちらで詳しく解説しています。
お年賀のマナーとポイント
お年賀を贈る際に、相手に失礼のないようにするためにはマナーを守ることが大切です。
ここでは、お年賀を贈るときの基本的なマナーや気をつけるべきポイントを紹介します。
のしはどうする?
お年賀の掛け紙は、のし付きで『紅白蝶結び』の水引ののし紙を使用します。
お正月は何度でも繰り返したいお祝い事であるため、結び直せる蝶結びを選び、水引の本数は5本または7本が望ましいです。
表書きは、『お年賀』もしくは『御年賀』と書きます。
のし紙の掛け方は、包装紙の上から掛ける『外のし』が好ましいとされています。
お年賀ののしについては、こちらで詳しく解説しています。
渡し方やタイミングはどうする?
お年賀は本来持参する贈り物であり、新年の挨拶をする際に手土産として直接手渡しするのが基本です。
訪問する際は、事前に連絡して相手の都合のよい日程を確認しておきましょう。
正式な挨拶が終わったあと、なるべく早いタイミングでお年賀を渡すことが好ましいとされています。
お年賀を渡す際は、紙袋に入れたり、風呂敷に包んだりして持参することが一般的です。
ただし、紙袋や風呂敷は汚れやほこりを避けるために使用します。
そのため、自宅に訪問した際にそれらに包んだまま渡すのはマナー違反になります。
また、相手の自宅や会社で品物を渡す際は、紙袋や風呂敷から出した状態で、のし紙の向きが相手から見て正面になるように渡しましょう。
なお、自社で来訪した相手に品物を渡す場合は、紙袋のままお年賀を渡しても問題ありません。
お年賀の渡し方については、こちらで詳しく解説しています。
手渡しできないときはどうする?
遠方に住んでいる相手にお年賀を贈る際は、直接訪問して手渡しするのが難しいため、郵送しても問題ありません。
ただし、本来は直接訪問して挨拶とともに渡す贈り物であるため、お店やインターネットショップから直送するのは失礼に当たります。
お店から一度自宅に持ち帰る、もしくはインターネットショップで注文した品物を自宅で受け取ったあと、自宅から相手に郵送するのがマナーとされています。
お年賀は、あくまでも挨拶とともに贈るのがマナーであるということを忘れないようにしましょう。
お年賀を渡す時期はどうする?
正式なお年賀の時期は三が日です。
三が日の間はお互いに都合がつかないこともあるため、『松の内』といわれる時期に贈ることが好ましいです。
松の内の期間は地域によって異なります。
たとえば、関東は1月7日頃まで、関西は1月15日頃までです。
贈る前に相手の松の内の期間を確認して、いつまでに贈ればよいかを把握しておきましょう。
なお、ビジネスシーンでは松の内の期間を休暇にしている会社があるため、先方の仕事始めの日程を確認しておくことも大切です。
贈る時期が過ぎたらどうする?
松の内の間に相手のもとへ伺えないときは、お年賀でなく『寒中御見舞』として持参します。
寒中御見舞は、寒さが厳しい時期に相手を気遣うための挨拶のことです。
松の内が明けた日から立春と呼ばれる2月3日頃までの間に贈ります。
寒中御見舞の時期も過ぎてしまった場合は、2月末までに『余寒御見舞』として贈ることが可能です。
喪中の場合はどうする?
お年賀は新年を慶ぶ(よろこぶ)という意味を持つお祝い事であるため、喪中の相手に贈るのは避けるのがマナーです。
喪中の相手に新年の挨拶をしたい場合は、松の内が明けてから寒中御見舞として贈ることが好ましいといえます。
喪中の相手に寒中御見舞を贈る際は、掛け紙に水引なし・無地の奉書紙もしくは白の短冊を使用します。
また、自分が喪中の場合は、喪が明けるまで贈り物を控えるのが望ましいとされています。
品物を贈りたい場合は手土産もしくは寒中御見舞として贈ることが可能です。
手土産として持参する場合は、表書きを『御挨拶』とします。
喪中の場合のお年賀については、こちらで詳しく解説しています。
お年賀に贈る品物の選び方
お年賀で贈る品物をいつ、どこで買うか、どのような品物にするか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
最近は、年末から年始にかけてデパートや通販サイトで購入するのが一般的です。
ここからは、お年賀に相応しい品物の選び方のポイントや避けたほうがよい品物を紹介します。
品物は何にする?
紅白の食べ物や金箔入りのお酒など、新年らしく縁起がよい品物を選ぶことをおすすめします。
新年には家族や親戚が集まることが想定されるため、大人数で楽しめる飲食品や和菓子、お酒など賞味期限が気にならない品物を選ぶのが好ましいです。
また、会社や取引先へのお年賀には、タオルや洗剤といった日用品がおすすめです。
個包装になっているお菓子やコーヒーもお年賀として好まれます。
お年賀の品物の選び方については、こちらで詳しく解説しています。
避けたほうがよい品物はある?
お年賀には、縁起が悪いとされる以下のような品物を贈るのは避けるのが無難です。
縁起が悪いとされる品物とその理由
品物 | 理由 |
---|---|
靴やスリッパ | 恩を踏みにじるという意味になるため |
櫛(くし) | 苦や死を連想させるため |
ハサミや包丁 | 縁を切ることを連想させるため |
また、お正月の連休に贈ることを考慮して、賞味期限が短い食品を避けるのが好ましいです。
さらに、相手に気を遣わせないように、高価すぎる品物も避けるのが望ましいといえます。
お年賀の贈り物におすすめの品物
お年賀の贈り物には、新年に相応しい縁起のよい品物や干支のイラストが入ったパッケージの品物などが人気です。
相手の好みや嗜好が分かれば、それらに合わせて品物を選びましょう。
ここからは、お年賀の贈り物におすすめの品物を紹介します。
スイーツ・お菓子
おめでたい新年には、華やかなパッケージのスイーツやお菓子がおすすめです。
特に、賞味期限が気にならず日持ちのするスイーツは、忙しい年始が過ぎてからも楽しめます。
また、個包装になっているお菓子はシーンを選ばず、家族や職場の方たちでも分けられるため、相手に喜ばれる品物の一つといえます。
和菓子
和菓子は、老若男女を問わず幅広い世代に喜ばれる品物です。
お年賀として贈ることで、お正月の親戚の集まりの際にみんなで楽しんでもらえます。
お年賀に贈る場合は、縁起がよいといわれる紅白の和菓子や、お正月をイメージしたパッケージが人気です。
ビール・お酒・ワイン
新年会を盛り上げることができるアルコール類もお年賀におすすめの品物といえます。
種類も豊富なため、相手の好みに合わせてお酒の種類を選ぶと、より喜んでもらえます。
新年のお祝いを華やかに飾る金箔入りのお酒もおすすめです。
お惣菜・調味料・保存食品
忙しい年始が過ぎてからでも楽しめるお惣菜や保存食品もお年賀の品物として人気が高まっています。
賞味期限が比較的長いこともおすすめの理由の一つです。
素材にこだわった質のよい調味料や、おしゃれなパッケージなど、相手に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
その他の食品(精肉・肉加工品・魚介類・水産加工品)
親戚家族との新年の食事を楽しむ際に喜んでもらえる食品も人気です。
お年賀は新年の挨拶として贈るため、縁起のよい食品は定番の品物といえます。
お鍋に使う上質な精肉やカニなど、贅沢な食品を選ぶのもおすすめです。
日用品
新年らしい縁起のよい紅白のデザインや干支のイラストが入った品物は、お年賀に相応しいといえます。
特に、実用的なタオルや洗剤などが人気です。
地球に優しいエコな洗剤や、肌触りのよいバスタオルなど、質のよい品物を選ぶと、相手に喜んでもらえるはずです。
お年賀を持参して気持ちのよい新年の挨拶をしよう
お年賀を贈るときは、のしや渡し方などのマナーに気をつけることが大切です。
喪中の場合は、贈る時期や掛け紙の選び方に注意しましょう。
また、お年賀に贈る品物を選ぶ際は、お正月に相応しい縁起のよい品物のほか、大人数で楽しめる品物や、賞味期限の長い品物を選ぶのがおすすめです。
丁寧で気持ちのこもった新年の挨拶をするために、お年賀を持参してみてはいかがでしょうか。