ワインの「ボディ」とは?
ボディ(Body)を直訳すると「身体」という意味です。ワインにおいては、コクや渋み、香り、色など、ワインの味わいを表現するために使われています。
例えば、濃厚なコクと重みのあるワインや、香りが強いワインなどは「フルボディ」、口当たりが軽く渋みの少ないワインは「ライトボディ」と表現されます。
ワインの味わいは「男性的」「女性的」「骨格のしっかりした」など、人に例えて表現することがあるため、そこから派生してボディと使われるようになりました。
とはいえ、味や香りの感じ方には個人差があります。「どこからがフルボディ」などと、明確に定義があるわけではありません。
また、白ワインやロゼワインにも概念を適用することはできますが、ボディは主に赤ワインで使われる言葉です。白ワインやロゼワインの味わいは、一般的には「甘口」「辛口」などと記載されています。
ワインのボディを決める要素
ボディは、ワインの味わいや飲み心地を大きく左右する要素です。知っておけば、ワインを選ぶ時の目安として活用できます。
具体的に、ワインのボディはどのような要素で決まるのでしょうか。ワインのボディを決める主な要素を、3つご紹介します。
ブドウの品種
ワインのボディを左右する要素の1つ目が、使用するブドウの品種です。果皮が厚く、色素や渋み成分の「タンニン」を豊富に含んだブドウを使ったワインほど、フルボディになりやすくなります。
日照量が豊富で温暖な気候で育ち、完熟したブドウはタンニンが豊富です。そのような地域で作られたワインは、フルボディの可能性が高いといえるでしょう。
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シラーといったタンニンが豊富に含まれているブドウ品種は、フルボディの赤ワインに使われていることが多いです。
ただし、ワインの味わいはブドウの収穫時期やブレンド、醸造方法などにも左右されます。タンニンが豊富な品種が使われたワインだからといって、必ずフルボディになるわけではありません。
タンニンがあまり多くないブドウ品種から造られたワインが、フルボディになることもあります。
ワイン造りに使われる主なブドウの品種や、それぞれの特徴は、以下の記事でご確認ください。
アルコール度数
アルコール度数も、ワインのボディを左右する要素のひとつです。発酵時間が長く、タンニンや色素を多く抽出するほど、アルコール度数も高くなります。
そのため、フルボディに分類されるワインは、アルコール度数が高めの傾向にあります。
ワインのボディは、単一の要素で決まるものではありません。ブドウの品種と同様に、あるコール度数が高いワインほど、フルボディになるわけではない点に注意が必要です。
アルコール度数が低いワインでも、濃厚なコクや渋みなどを感じられるものはフルボディに分類されます。
熟成方法や期間
通常、ワインは発酵後に樽やタンクの中で熟成させます。熟成の際に、木製の樽にワインを入れておくと、木樽に含まれる成分がワインに溶け出すため、香りやコクが強くなる傾向にあります。
アルコール度数が高くタンニンの豊富なワインは、長期熟成に向いているのが特徴です。
反対に、新酒のように樽で熟成させずに出荷させないワインは、軽く爽やかな飲み口(ライトボディ)になります。
ボディごとの味わいの特徴は ?
ワインのボディは、大きくフルボディ・ミディアムボディ・ライトボディの3種類に分けられます。種類ごとに、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴や、合わせやすいおすすめの料理は、以下のとおりです。
フルボディ
コクが深く、濃厚な味わいや香りを楽しめるのがフルボディのワインの魅力です。渋みの元になるタンニンの含有量が多く、アルコール度数も高い傾向にあるため、人によっては重たい印象を受けるかもしれません。
見た目の色が非常に濃いのも特徴です。
濃厚な風味を生かして、肉料理や煮込み料理といった、風味の強い料理を組み合わせると、おいしく飲むことができます。
また、脂が多くこってりした料理と組み合わせるのもおすすめです。ワインのタンニンによって脂が流されるので、さっぱり食べられるようになります。
ミディアムボディ
コクや香り、渋みなどが強すぎず、弱すぎることもない中間のワインです。口当たりの良さと味わいのバランスに優れており、パスタやあっさりした肉料理など、さまざまな料理に合わせやすいのが特徴です。
ミディアムボディのワインは、ピノ・ノワールやカベルネ・フランといったブドウ品種から造られています。
軽い飲み口のワインだと物足りなさを感じるものの、フルボディのワインは重たさを感じてしまう方におすすめです。
ライトボディ
口当たりが良く、飲み心地も軽いのがライトボディの特徴です。透明感があり、全体的に色味が薄く淡い傾向にあります。
ライトボディのワインとしては、毎年11月の第3木曜日に発売が解禁される「ボジョレー・ヌーヴォー」が広く知られています。
フルーティーで渋みも少なく、飲み口が軽いので、前菜などの繊細な味わいの料理に最適です。
赤ワイン特有の濃厚な味わいが苦手な方や、ワイン初心者の方は、ライトボディのワインから試してみてはいかがでしょうか。
ワインは、味わいに適した料理と組み合わせることで、よりおいしく楽しめるようになります。ワインと料理の合わせ方のコツは、以下の記事も併せてご確認ください。
ボディを知ってワイン選びをより楽しもう !
ワインのボディとは、ワインの味わいの重厚さや渋みなどを表す言葉です。基本的には、フルボディになるほど味わいがしっかりしたワインになります。
濃厚な味のワインを楽しみたい方や、こってりした料理と合わせたい方は、フルボディのワインから選んでみるのがおすすめです。
反対に、軽い飲み口であっさりした料理に合わせたい方はライトボディから、適度な口当たりの良さと味わいを求めている方はミディアムボディから選ぶと良いでしょう。
ただし、ボディには明確な判断基準がありません。「フルボディと書かれているが少し物足りない」「ミディアムボディだけど、重さを感じる」といったこともあるはずです。
ボディの表記は目安として考え、自分の好みの味わいを探していくのも、ワインの面白さといえるでしょう。
ご紹介した内容を、ワイン選びにお役立てください。