【世界の産地シリーズ】第四弾 スペイン -美食の街バスク-

【世界の産地シリーズ】第四弾 スペイン -美食の街バスク- 【世界の産地シリーズ】第四弾 スペイン -美食の街バスク-

スペインが誇る美食とアートの街、バスク地方。ここは食文化が息づく場所であり、その豊かな大地から生み出されるワインたちもまた格別です。バスク地方では、地ワイン「チャコリ」が有名ですが、チャコリ以外にも上質なワインがたくさん造られています。今回は、そんな星付きレストランが密集する世界屈指の美食の街サン・セバスチャンなどでも扱われるバスクワインの魅力に焦点を当て、極上の1本をお届けします。

概要

険しい山岳地帯と美しい海岸線で成り立つバスク地方は、独自の言語と文化を持ちスペインが誇る美食とアートの街として今や人気の観光地でもあります。そんなバスク地方では、古代からブドウ栽培が行われてきました。

地元の農家や醸造家たちが伝統的なワイン製法を守りながら、新しい技術も導入してきました。しかし、一時は衰退の危機に見舞われました。それを憂いた生産者たちの努力や自治体の後押しもあり、見事復活を遂げ、近年では輸出も含め大いに発展しています。

今では、ワイン醸造技術の進歩と醸造家たちの弛まぬ努力によりバスクワインは古典的な味わいとモダンなアプローチが絶妙に融合しています。バスク地方の地形や気候の多様性が、異なるサブリージョンで個性的なワインが生み出される要因となっています。海洋の影響を受ける沿岸部と内陸部では異なる風味が楽しめます。

歴史

エスカンシア

バスク地方は古代ローマ時代には既にワインが生産されており、これが後のバスクワインの基盤となっています。そんなバスクを代表するワインが「チャコリ」です。

チャコリはフレッシュで爽やかな酸が特徴のバスク地方を代表するワインです。バスク地方では、特にティント・デ・ネグロが古くから栽培されていますが、チャコリに使われるブドウの主要品種は、フランスとの国境近くにある「オンダリビア」という町に由来する『オンダラビ・スリ』と黒ブドウの『オンダラビ・ベルツァ』です。

チャコリの飲み方として有名なものがあります。それが「エスカンシア」。チャコリを高いところからグラスに流し落とすように注いで、鋭い酸味を和らげ、ワインの香りと果実味を開かせるための注ぎ方です。 エスカンシアの目的は諸説ありますが…もともと酸が強いチャコリが多く、その酸味を空気に触れさせることで、口当たりをまろやかなにするため行われたのが一般的だと言われています。今は前述したように、上質なチャコリも多いことから観光地でのパフォーマンスとしての要素の方が強いようです。

バスクの主要産地

カンブリア海の沿岸から内陸にかけてブドウ畑が点在しています。海風の影響を受けるため、昼夜の寒暖差が小さく穏やかな気候です。年間降水量は1,000〜1,500mlとブドウの栽培環境にしてはやや多く、湿気も高い傾向にあります。沿岸沿いのなだらかな丘の斜面を上手く利用して風通しをよくする「エンパラード」という仕立てがチャコリでは主流です。そして、チャコリには3つの産地が存在します。その産地の特徴をご紹介いたします。

チャコリ・デ・ゲタリア

〇 チャコリ・デ・ゲタリア

チャコリの3つのDOの中でも栽培面積・生産量ともに最大のチャコリを代表する産地です。県都には「美食の街」として知られるサン・セバスチャンも近くにあります。白ワインの生産量が9割を超え、近年は海外でも人気のあるチャコリの多くはチャコリ・デ・ゲタリアから輸出されています。

チャコリ・デ・アラバ

〇 チャコリ・デ・アラバ

山間部に位置し、チャコリの産地の中で唯一海に面していない内陸にあります。アラバ県は、DOPリオハの赤ワインの産地の一部(リオハ・アラベサ)として知られていましたが、2001年「チャコリ・デ・アラバ」としても原産地呼称に認定されました。沿岸部に比べ降雨量が少なく(年間平均899mm)、南からの乾燥した風が年間平均170日吹くのが特徴で、ブドウの生育にとって非常に良い環境となっています。

チャコリ・デ・ビスカイア

〇 チャコリ・デ・ビスカイア

バスク最大の都市であるビルバオの近くや、ピカソの代表作「ゲルニカ」でも有名なゲルニカ周辺にブドウ畑が多く存在します。標高50〜200mにある日当たりの良い斜面にブドウ畑を耕し、秋頃には南からの乾燥した風がブドウの成熟を手助けします。生産量もゲタリアに比べ少なく、ブドウも成熟する為、アルコール度数、味わい、価格が3つの産地の中でもやや高い傾向になります。少量ながら上質な赤ワインやロゼワインも造られています。

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