1760年、フランスの海軍に属していたジャック・カノン氏がこの土地を購入。ここがブドウ栽培に適していることを見抜き、当時ブドウ以外に植えられていた穀物などを抜き取り、全てブドウに植え替えました。それが現在のシャトー・カノンの基礎となりました。
その畑は、サンテミリオンでも最も優れた場所の一つである、【オーゾンヌ】や【ベレール】【マグドレーヌ】【ボーセジュール・ベコ】といった1級シャトーが集まったサンテミリオンの南西部斜面に、「22ha」を所有しています。
こうした好条件から、かつてはカノンのワインは【シュヴァル・ブラン】や【オーゾンヌ】と比べても引けを取らない“サンテミリオン最高級のワイン”として評価されていたのです。
カノンのワインには気品高い香りがあり、凝縮感に溢れ、顕著な樽香を持つ、男性的な特徴を持ちます。多くのタンニンのお陰で非常に長命であり、熟成を経るとなめし革、杉、甘いプルーンの香りが印象的と評されるようになっていきます。
「シャネル社」の投資で生まれ変わる
今日シャトー・カノンと言う名前で知られているこのシャトーは、“ドメーヌ・ドゥ・サンマルタン”という名前で、サンテミリオンの城壁に向かうように存在していた。
1760年、海軍に属していたジャック・カノンは、当時の所有者であるビエ家からこのドメーヌを買い取り、住居であるシャトー、樽貯蔵室、醸造所などの建設を始めた。中でも特に城壁に囲まれたブドウ畑の改善に熱心に取り組んだ。
1770年、シャトーはボルドーの有力なネゴシアンであったレイモン・フォントモワン社に売却され、さらに1919年にはフルニエ家に売却された。
そして1996年、シャトー・カノンは現在のオーナーであるシャネル社に購入された。シャネル社は、それに先立つ1994年に購入していたマルゴー地区の2級シャトー【ローザン・セグラ】と同様に多大な投資を行い、ブドウ畑の改善、醸造所の改良などに取り組んだ。
現在、【ローザン・セグラ】と同じく、以前はシャトー【ラトゥール】の支配人であったジョン・コラザが中心となってワイン作りを行っている。