シャトー案内
ボルドーで最も古くからワインが造られていたグラーヴ地区。14世紀、当時の法王であったクレマン5世によって開墾が進められました。グラーヴという名前はフランス語で“小石”を意味し、古くからこの土地の水はけが大変よく、上質なワインが出来上がる条件を満たしていたことが分かります。
1855年のパリ万博に合わせ、ナポレオン三世の銘を受けて制定されたメドック地区の格付けにも、地理的には離れているのにも関わらず、出来上がるワインの素晴らしさから、例外的にグラーヴ地区の「シャトー・オー・ブリオン」が1級に選ばれたというのも、ワイン好きの間では有名な話。
1987年にはこの「シャトー・オー・ブリオン」を含むグラーヴ地区北部のトップシャトーがAOC「ペサック・レオニャン」として独立。現在に至るまでレベルの高い造り手達が切磋琢磨し、上質なワインを安定した品質で生み出し続ける地区として、世界にその名を知らしめています。
今回ご紹介する「シャトー・ボー・シット」を手掛けるラランド家も、グラーヴ地区の中でもとくに高級ワインを生み出す産地「ペサック・レオニャン」にシャトーを構える造り手のひとつ。そちらはChateau Roche Lalandeという名で、品質はもちろんお値段もさらにハイレベルなワインを手掛けていますが、もっと手の届きやすい価格で、グラーヴ地区の魅力を世界に知ってほしいと新たに購入したのが、グラーヴ地区の「シャトー・ボー・シット」でした。
Beau Site(ボー・シット)とはフランス語で“美しい土地”という意味。この名が示すとおり、伝統的なスタイルのシャトーの前には美しいブドウ畑が広がっており、ここならきっと理想のスタイルのワインが造れるとオーナーはすぐに確信したそうです。
畑の平均樹齢は45年。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、そしてプティ・ヴェルドといったボルドーの伝統品種がしっかりと根を張り、周りの環境も理想的です。ラランド家の所有となった後、オーナーはすぐにオーガニック農法への転換を指示。より地球環境に配慮し、周りの動植物にも優しい手法でワイン造りが続けられるよう、ヴィンテージを重ねる毎に新しい試みを進めています。
ソムリエのテイスティングコメント
“輝きのあるガーネット色のワインは、エッジに少しレンガ色のニュアンスがあり、熟成感が見て取れます。
フランボワーズやレッド・カラントのようなみずみずしいベリーのアロマが全面に出ていますが、グラスをスワリングし空気に触れさせると、シガー、甘草、杉といったより複雑なアロマもゆっくりと開いてきます。
滑らかな飲み心地、こっくりと円みのある質感、まろやかな味わいとともに、しっかりと存在感のあるタンニンが広がります。
フィニッシュは程良い酸味が全体を引き締めて、非常に上品な印象です。
余韻は非常に長く続き、合わせるお料理の味わいと溶け合って素晴らしいハーモニーを奏でてくれるでしょう。
旨味と適度なパワフル感のある味わいは、上質な脂の乗った牛肉やラム肉のグリル、チキンのロティ、シチューなど煮込み料理や、ボロネーゼソースのパスタなどメインのお料理のお供にぴったりです。モッツァレラチーズやカマンベールなど、風味が穏やかでミルキーなチーズ、旨味がギュッと凝縮したハード/セミハードタイプのチーズなどとも相性がいいでしょう。
是非、特別なディナーに華を添える一本としてお選びください。”。