シャトー案内
その名の通り“塔”をシンボルとした、世界に名高い1級シャトーです。名前の由来ともなり、ラベルにも描かれている塔は、14世紀中頃、要塞として建てられて『年代記』にも登場しているという由緒ある塔なのです。
ラトゥールのワインは、5大シャトーの中で“最も力強く男性的”“晩熟で長命”と言われています。それだけに、色が濃くタンニンも豊富なのですが、それに負けないだけの黒い果実の凝縮感は素晴らしく、圧倒されてしまうほどです。
「50年以上の熟成にも耐えられる」とも言われる晩熟なワインだけに、若いうちはガチガチとした印象があります。しかし、じっくり20~30年と寝かせると、タンニンの角が取れて、力強さと豊かなコク、円熟した深みが見事に現れ、世界に名高いラトゥールらしい極上の味わいを見せてくれるようになります。
また、このシャトーが評価されている点は、ヴィンテージによって左右されることがほとんどなく、五大シャトーの中で最も安定して、その名声に恥じないワインを造り続けていることでしょう。
この理由の一つが、地理的にジロンド川に近いという地形の恩恵によるものです。川の輻射熱は、ブドウの成熟を早めたり、冬の畑を暖かくしたりしてくれるため、霜の被害、収穫時の秋雨被害を被るリスクを減らすことが出来るのです。安定したワインが造れるように、自然から加護を受けていると言ってもいいかもしれません。
そして、もう一つの理由は、シャトーの近代化と努力です。ラトゥールは外国資本により経営されていた1963年からの30年間に、いち早くステンレスタンクを導入するなど設備を一新させました。それに加えて、100%の新樽熟成、樹齢10年以上の樹からしかブドウを収穫しないなどの厳しい規律を造り、それを守り続けてきたのです。この姿勢は今なお全く変わることなく守り続けられています。 ちなみに、1993年にシャトーが売却され、フランス人の経営に戻った時、現オーナーの提示した買収金額は何と「1億2600万ドル」。それだけの価値を認められているワインなのです。
その本当の価値を知るためにも、ぜひ15年以上寝かせたラトゥールを飲んでみてください。重厚で奥深く、格別のコクが楽しめるようになっていることがお分かりいただけることでしょう。軽く20~25年は瓶の中で熟成し、年によっては50年以上の歳月を持ちこたえるという、長命で偉大なワインの底力を感じとってみてください。