お中元

2024.03.05

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お中元やお歳暮の勘定科目は? 処理の仕方と注意点を解説

お中元は夏の暑い時期に、お歳暮は1年の終わり頃に、普段お世話になっている方へ日頃の感謝の気持ちをこめて品物を贈る日本の伝統的な習慣です。

ビジネスシーンにおいても、かかわりのある取引先へお中元やお歳暮を贈ることが一般的です。なかには、「これらの贈り物にかかる費用が経費として認められるのだろうか」「どのように計上すべきなのだろう」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、贈り物にかかる費用を経費として計上する場合の適切な勘定科目の例や、税務上の注意点について解説します。

お中元・お歳暮についての情報は以下のページで解説しています。

お中元・お歳暮の勘定科目と仕訳方法

会社が事業を行ううえで発生する費用は、勘定科目ごとに分けて記録する必要があります。法人として、または個人事業主として日頃付き合いのある取引先へ感謝を伝えるお中元やお歳暮は必要経費として扱うことが可能です。

お中元・お歳暮にかかった費用の勘定科目は原則『接待交際費』として処理します。ただし、場合によっては勘定科目を『広告宣伝費』として処理する方が適切なケースもあります。お中元・お歳暮など贈答品を経費として計上する際は、さまざまな規定に沿って仕訳するようにしましょう。

接待交際費としての処理

ビジネスでかかわりのある相手へお中元・お歳暮を贈る場合、品物の購入にかかる費用は基本的に勘定科目を『接待交際費』として仕訳します。

現金・クレジットカードなど、贈答品を購入する際の支払い方法によって仕訳時の記載内容に違いがあるため注意が必要です。

10,000円の品物を現金で購入し、取引先へ送付した場合
借方
接待交際費 10,000円
貸方
現金 10,000円

借方

貸方

接待交際費 10,000円
現金 10,000円
10,000円の品物をクレジットカードで支払い、取引先へ送付した場合
借方
未払金 10,000円
貸方
現金 10,000円

借方

貸方

接待交際費 10,000円
未払金 10,000円
カードの利用料引き落とし時
借方
未払金 10,000円
貸方
普通預金 10,000円

借方

貸方

接待交際費 10,000円
普通預金 10,000円

お中元やお歳暮の品物をクレジットカードで購入した場合は、まず貸方を未払い金として仕訳します。その後、引き落としの際に未払い金を相殺するかたちで処理するのが適切な方法です。

広告宣伝費としての処理

本来、会社としてお中元やお歳暮を贈る場合、勘定科目は『接待交際費』として仕訳します。ただし、シンプルにお中元やお歳暮として贈るのではなく、会社名を覚えてもらう目的で品物を贈る場合、仕訳の勘定科目を『広告宣伝費』とすることが可能です。

例えば、会社名やロゴの入った品物またはノベルティをお中元やお歳暮として贈るケースは、お礼よりも広告宣伝の意味合いが強いといえるため、勘定科目は広告宣伝費として処理します。

普通預金から50,000円を支払い、社名入りの品物を取引先へ贈った場合
借方
広告宣伝費 50,000円
貸方
普通預金 50,000円

借方

貸方

広告宣伝費 50,000円
普通預金 50,000円

お中元やお歳暮の品物をクレジットカードで購入した場合は、まず貸方を未払い金として仕訳します。その後、引き落としの際に未払い金を相殺するかたちで処理するのが適切な方法です。

関連経費の取り扱い

取引先へのお中元やお歳暮を用意する際、品物代以外に送料や交通費が発生することがあります。品物を贈る際にかかった送料や交通費もすべて経費として計上が可能です。その場合は、品物と同じ勘定科目で計上するようにしましょう。

例えば、お中元やお歳暮を接待交際費として計上する場合、送料や交通費も接待交際費になります。贈る品物を広告宣伝費として計上する場合は、送料や交通費も同じく広告宣伝費、もしくは通信費や旅費交通費として処理できます。

法人と個人事業主で異なる接待交際費の上限

接待交際費の上限額は、会社の規模に応じて一定の制限があります。

会社の規模と接待交際費の上限

会社の規模

接待交際費の上限

資本金1億円以上の大企業
接待飲食費の50%
資本金1億円未満の中小企業
接待飲食費の50%または年間800万円まで
個人事業主
上限額なし

会社の規模

接待交際費の上限

資本金1億円以上の大企業
接待飲食費の50%
資本金1億円未満の
中小企業
接待飲食費の50%または年間800万円まで
個人事業主
上限額なし

接待交際費に計上できるのは、仕事上でかかわりのある相手への贈答品の場合です。個人的な付き合いのある友人や恩師へ贈る場合は経費にならないため、注意が必要です。

お中元・お歳暮の領収書と記録

取引先へのお中元やお歳暮にかかった費用は上限額内なら経費として計上できますが、経費処理するにあたって証明書類が必要です。証明書類とは、品物購入時の領収書や宅配の送り状などを指します。領収書の但し書きや送り状の宛名が正しく記載されていることで、その経費の仕訳が適切であると証明することが可能です。

お中元やお歳暮を購入する際、領収書の但し書きを『品代』にすると目的が分かりづらいため、必ず『お中元代』もしくは『お歳暮代』と明記しましょう。

また、プライベートでの贈り物と混同を避けるためにも、贈り先リストを用意して正しく保管しておくことも重要です。

お中元やお歳暮を経費とする際の注意

お中元やお歳暮を経費として処理する際は、いくつかの点に注意が必要です。ここでは、贈答を経費とする際に知っておきたい注意点を紹介します。

高価な贈り物は経費として認められない

お中元やお歳暮としての贈り物があまりにも高額な場合、経費として認められない可能性があります。

高価なアクセサリーや貴金属、時計などは換金目的と疑われる場合があります。商品券やギフト券も同様で、換金性の高い贈り物は経費の水増しを疑われる可能性があるため、注意が必要です。

接待交際費として処理する場合には、贈り物の内容にかかわらず、高額になりすぎないように注意しましょう。

一般的なお中元の相場に関しては、こちらのページで詳しく解説しています。

税務上のリスクがある

プライベートな支出を接待交際費として計上していると、税務調査で指摘される可能性があります。ビジネス上の付き合いがある相手へ贈り物をした際は、贈り先をリスト化して記録に残しておきましょう。

また、記録する内容や保管書類には間違いがないようにするために、贈り物の内容と贈り先を帳簿へ明確に記載したり、領収書を保管しておいたりすることも重要です。

相手がお中元やお歳暮を受け取れないことがある

ビジネス上の付き合いがあっても、相手によってはお中元やお歳暮を受け取ることが難しい場合もあります。

例えば、国家公務員は国家公務員倫理規程により、利害関係者から贈答品を受け取ることを禁止されています。また、政治家や公務員へ贈答品を贈る行為は、ビジネス・プライベートにかかわらず収賄と捉えられてしまうため避けましょう。

一般企業の場合でも、会社の方針によってお中元やお歳暮などの贈答品を断っている場合があります。「感謝を伝えるための贈答品のはずが相手に迷惑をかけてしまった」という事態にならないために、事前に確認をしておくことが重要です。

お中元を贈る相手について、詳しくはこちらのページで解説しています。

お中元・お歳暮の経費は正しく処理しよう

日頃の感謝を形にして伝えられるお中元やお歳暮は、取引先との良好な関係を築き、維持するうえで欠かせない習慣の一つです。

お中元やお歳暮は経費計上の際、接待交際費または広告宣伝費として処理できます。これらの経費を適切に処理するためには、支払い方法や関連経費の扱い、税務上のリスク管理にも注意を払う必要があります。

経費仕訳の際には、領収書や送り状などの証明書類を正確に保管し、帳簿記録を漏れなく行うことが重要です。

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