お歳暮の正しい渡し方は『手渡し』
お歳暮は、直接お宅へ訪問して手渡しするのが正式なマナーとされています。
近年は、遠方に住んでいる相手にお歳暮を贈るために、配送で贈ることも可能です。
しかし、基本的には手渡しのほうが丁寧で、より気持ちが伝わりやすいと考えられているため、近くに住んでいる相手にお歳暮を贈る際は、手渡しが好ましいといえます。
また、仕事上で付き合いのある相手に贈る際も、できるだけ基本のマナーに沿って直接感謝の気持ちを伝え、お歳暮を手渡しすることが望ましいです。
お歳暮を手渡しするときのマナー
お歳暮を手渡しする際は、いくつか注意点があります。
相手へ感謝の気持ちを伝えるためにも、マナーを守って渡すことが大切です。
ここでは、手渡しするときのマナーを紹介します。
時間帯
お歳暮を手渡しする際、突然相手のお宅に訪問するのは大変失礼に当たります。
そのため、事前に相手の都合を聞いておくことが大切です。電話やメールなどで相手と訪問日程を決めましょう。
日程相談の際に相手から時間の申し出がない場合は、早朝やお昼時、夕方などの時間帯は極力避けて訪問するのが望ましいです。
午前の場合は10~11時、午後の場合は14~15時が理想的といえます。
また、訪問の際、約束の時間より5分以上遅れる場合は、事前に連絡を入れることがマナーです。
反対に、到着が早すぎた場合には、相手の都合も考え、約束の時間まで訪問しないようにしましょう。
身だしなみ
身だしなみのマナーは、相手との関係性によって異なります。
例えば、プライベートで付き合いのある相手の場合、かしこまった服装にする必要はありません。
ただし、Tシャツにジーンズのようなラフすぎる格好は避けるのが好ましいといえます。
カジュアルなジャケットにスラックスのような清潔感のある服装を意識し、最低限の身だしなみを整えることが大切です。
また、お歳暮を渡す際に相手のお宅へお邪魔する場合、上着を着用したまま室内へ入るのはマナー違反といわれています。
インターホンを鳴らす前に、コートやマフラーは脱いでおきます。
その際、上着についたほこりや花粉を外で払い、訪問先を汚さないようにする配慮も忘れないようにしましょう。
持参方法
お歳暮は、風呂敷に包んで持参するのが正式なマナーとされています。
風呂敷で品物を包む際は、結び目のない『平包み』という包み方がおすすめです。
包みを解く際に時間がかからず、スムーズに渡すことができます。
風呂敷が用意できない場合は、紙袋でも問題ありません。
お歳暮を汚さないことが目的であるため、風呂敷や紙袋ごと渡すことは避けましょう。
風呂敷、紙袋のどちらであっても、持ち帰ることがマナーです。
渡すタイミング
お歳暮は、玄関先で相手に挨拶するタイミングで手渡しするのが一般的です。
ただし、部屋に案内された場合は、部屋へ通されたあとに渡すのが好ましいといえます。
お歳暮を渡す際は、風呂敷や紙袋から取り出し、相手から表書きが読める向きで渡します。
このとき、品物に両手を添えて渡すのがマナーです。
なお、生鮮食品や要冷蔵・要冷凍の品物を渡す場合は、手渡しする際にその旨を一言添えましょう。
【相手別】お歳暮を手渡しするときの挨拶
お歳暮は、手渡しする際の挨拶にも配慮が必要です。
「今年もお世話になり、ありがとうございました」と感謝を伝えるのはもちろん、品物の保存方法や賞味期限など、気をつけてほしい点も伝えると、より丁寧です。
また、挨拶の内容は相手との関係性によって異なります。ここからは、相手別にお歳暮を渡す際の挨拶の例を紹介します。
プライベートで付き合いのある相手
プライベートで付き合いのある相手へのお歳暮は、渡す際に相手を想う気持ちを述べることで、よりお礼の気持ちが伝わります。
以下に、挨拶の例を3つ紹介します。
挨拶例①
「1年間大変お世話になりました。心ばかりの品ですがお納めください。」
挨拶例②
「本年も大変お世話になりました。ささやかではありますが、皆様で召し上がってください。ご家族で楽しんでいただけますと嬉しいです。」
挨拶例③
〇〇が好きだと伺ったのでお歳暮でお持ちしました。どうぞお受け取りください。」
ビジネス関係の相手
ビジネスシーンでお歳暮を贈るときは、失礼のないよう、より丁寧な言葉を心がけることが大切です。
下記、挨拶の例を3つ紹介します。
挨拶例①
「今年も大変お世話になりました。日頃の感謝の気持ちを込めて心ばかりの品をお贈りいたしますので、お気に召していただけたら幸いです。」
挨拶例②
「いつもお力添えをちょうだいし、ありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。」
挨拶例③
「明年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
ビジネスで付き合いのある相手
取引先宛
○○株式会社 御中
謹啓 師走の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
つきましては、日頃の感謝の気持ちを込めまして、心ばかりではありますが、お歳暮の品をお送りさせていただきましたので、ご笑納いただければと存じます。
明年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
甚だ略儀ではございますが、書面にて一年のお礼を申し上げます。
謹白
令和○年○月○日
○○株式会社
上司宛
○○部 部長
○○ ○○様
拝啓 歳末の候、ご多忙のことと存じます。
今年一年、公私共に温かいご指導を賜り、心より感謝しております。
日頃の感謝の意を込めまして、心ばかりの品をお送りいたしましたので、お気に召しましたら幸いです。
来年もよろしくご指導ご鞭撻のほど、心よりお願い申し上げます。
敬具
令和○年○月○日
○○部 ○○ ○○
お歳暮を手渡しするときの注意点
習い事の先生や、仕事上の付き合いのある相手へのお歳暮の渡し方には、特に注意が必要です。
贈答品を禁止している場合があるため、お歳暮を贈ってもよいか、事前に相手へ確認をとることをおすすめします。
習い事の先生へ贈る場合、事前に確認をとったうえで、12月に入ってから教室へ足を運んだタイミングでお歳暮を渡します。
このとき、ほかの生徒や保護者などの人目を避けて渡すのが望ましいです。
ビジネス上で付き合いのある相手の場合も、12月に入ってからの商談や年末の挨拶の際に渡すのが一般的です。
相手の会社を訪問する場合は、部屋に通され挨拶をしたあとに渡します。
自社に来訪される場合は、相手が持ち帰る際に困らないよう「紙袋のままで失礼します」と言葉を添えて、紙袋のまま渡すと親切です。
相手の状況に配慮して適切なタイミングで渡しましょう。
手渡しが難しい場合は配送する
お歳暮は手渡しするのが正式なマナーとされていますが、手渡しすることが難しい場合は宅配便を利用して配送します。
特に、遠方の親戚や取引先の場合は配送で贈ることも問題ないとされています。
また、多忙で不在にすることが多い方にとっては、訪問を迷惑に感じる場合もあるため、相手の状況に配慮することも必要です。
近年では、インターネット通販でお歳暮を相手へ配送することが可能です。
気軽に利用できる配送サービスが主流になってきていますが、お歳暮を配送する場合にも相手に失礼がないようにマナーを押さえることが大切です。
お歳暮を配送するときのマナー
お歳暮を配送するときは、事前に送り状を送付するのがマナーとされています。
封書で送るのが丁寧ですが、ハガキでも問題ありません。
送り状には、お歳暮が届くことや日頃の感謝の気持ちを記します。
相手が不在で品物を受け取れない可能性もあるため、品物が届く前に送り状が届くように送るのが望ましいです。
ただし、急ぎの場合は電話やメールでお歳暮を配送することを伝え、添え状を同封する方法もあります。
「送り状も添え状もなしに、品物だけが届いた」ということがないように注意しましょう。
お歳暮の送り状についての詳しくはこちらのページで解説しています。
お歳暮の渡し方に配慮して感謝の気持ちを伝えよう
お歳暮の送り状は、日頃お世話になっている方へ年末の挨拶とともに、感謝の気持ちを伝えるための大切な挨拶状の一つです。
お歳暮は、手渡しが正式な渡し方とされています。
渡すときの時間帯や服装、タイミング、添える言葉など、相手への細やかな気遣いを忘れないようにすることが大切です。
基本的なマナーを押さえて、1年間の感謝や、「今後もよろしくお願いします」という気持ちを直接伝えることで相手との関係性もきっと深まります。
なお、手渡しが難しい場合は、配送でも問題ありません。
ただし、その際はお歳暮が相手のもとに届く前に送り状が届くようにすることが重要です。送り状の送付が難しい場合は、電話やメールで品物が届くことを相手に伝えましょう。