喪中でもお歳暮を贈ってよい?
「喪中期間はお祝い事を避ける」というのが一般的なマナーです。
しかし、お歳暮はお世話になっている方への日頃の感謝の気持ちを伝えるための贈り物であるため、喪中でも贈ることができます。
また、贈る本人が喪中の場合でも、お歳暮を贈ることは失礼には当たりません。
喪中の期間とお歳暮
喪中とは一般的に、配偶者や親族が亡くなった場合に喪に服す期間を指します。
配偶者や2親等以内の親族の場合、亡くなってから一周忌を迎えるまでが喪中とされる傾向にありますが、故人との続柄や宗派・信仰によって喪中の扱いや期間は異なります。一般的な喪中期間の目安は以下のとおりです。
故人との続柄と喪中期間
故人との続柄 | 喪中期間の目安 |
---|---|
配偶者・1親等(父母・義父母・子ども) | 12~13ヶ月 |
2親等(兄弟姉妹・祖父母) | 3~6ヶ月 |
また、喪中と混同しやすい期間に『忌中』があります。
忌中は喪中の一部であり、特に故人に対して向き合い偲ぶ期間とされています。
忌中も宗派や信仰により期間が異なります。一般的な忌中の考え方は、以下のとおりです。
宗教 | 忌中の期間 |
---|---|
仏教 | 四十九日法要まで |
神道 | 五十日祭まで |
喪中にはお歳暮を贈っても問題ありませんが、忌中はお歳暮を贈らないように注意しましょう。
前述のとおり、喪中の場合は贈り物を控えたほうがよい期間に違いがあるため、心配な場合は事前に電話やメールで贈り物をしても問題ないかを相手に確認しておきましょう。
喪中の相手へお歳暮を贈る際のマナー
喪中の相手にお歳暮を贈る際は、相手への配慮が必要不可欠です。
宗派や信仰により個人差はありますが、喪中である本人は慶事や派手な行事への参加を控えている可能性が高いといえます。
また、贈る側も、相手が喪中と分かっている場合には、表書きや添える言葉などを適切に選ばなければなりません。
ここでは、相手が喪中の場合にお歳暮を贈る際に知っておきたいマナーについて解説します。
一般的なお歳暮の渡し方のマナーは、こちらのページで解説しています。
贈り方とタイミング
冒頭で説明したように、喪中の相手にお歳暮を贈ることは問題ありません。
しかし、相手が忌中の場合にお歳暮を贈るのはマナー違反です。
相手が忌中で、本来の時期にお歳暮を贈ることが難しい場合は、時期をずらして『寒中御見舞』『寒中伺い』として贈ることもできます。
なお、『御年賀』はお祝い事を表すため、喪中の場合は表書きへの使用は避けましょう。
のしの種類
喪中の場合は、のしや紅白の水引が印刷された『のし紙』や『短冊のし』の使用は控えます。
理由は、のしや紅白の水引は慶事に使用するものであり、喪中にふさわしくないからです。
喪中に贈るお歳暮にのしを掛ける際は、白無地の掛け紙または短冊を使用し、『御歳暮』と表書きをしましょう。
包装も派手なものは避け、なるべくシンプルな包装紙に包むのがマナーとされています。
挨拶状の言葉
お歳暮を贈る際は、送り状や添え状といった挨拶の手紙を添えることがマナーとされています。
ただし、喪中の相手に贈る際は、挨拶状に祝いの言葉や重ね言葉を書かないように注意しなければなりません。
お祝いの言葉や重ね言葉として避ける言葉
- お祝いの言葉:ご健勝、ご清栄、ご繁栄、お慶び、お喜び など
- 重ね言葉:たびたび、ますます など
お祝いの内容はもちろん避けるべきですが、相手の悲しみを誘うような内容や丁寧すぎる気遣いも同様に避けたほうがよいといえます。
通常の挨拶状について、詳しくはこちらのページで解説しています。
故人宛には贈らない
お歳暮は、相手との縁が切れた段階で送らなくてもよいとされています。
故人との縁は亡くなった時点で切れると考えられているため、故人の家族や親族と付き合いがなければ、何かを贈る必要はありません。故人宛にお歳暮を贈る行為は、遺族につらい気持ちを思い出させる恐れがあるため、避けましょう。
自分が喪中の場合のお歳暮
自分が喪中の場合であっても、例年通りにお歳暮を贈ることも、受け取ることも問題はないとされています。
ただし、通常通りに対応してよいというわけではなく、状況に応じて配慮すべきこともあります。ここからは、自分が喪中のときにお歳暮を贈る際、受け取る際、気を付けたほうがよいポイントについて解説します。
自分がお歳暮を贈る際の対応
自分が喪中にお歳暮を贈る際は、相手が喪中の場合と同じく忌明けしてから贈るようにします。
包装紙や掛け紙もシンプルなものを使用しましょう。
相手によっては、死を穢れ(けがれ)と捉え、喪中の相手からの贈り物を気にする可能性もあります。
自分が喪中の場合は、お歳暮の贈答に関して相手に事前に確認を取っておくことで、安心して贈ることができます。
自分がお歳暮を受け取る際の対応
喪中であるなしにかかわらず、自分がお歳暮を受け取った場合はお礼状を出すことがマナーです。
お礼状を送らないことは、相手に対して失礼に当たります。
また、相手が訃報を知らずに故人宛にお歳暮が届いてしまうことがあります。
この場合は、連絡ができなかったことへのお詫びと、当人が亡くなっていることを知らせる内容をお礼状に加えましょう。
お歳暮の贈り相手が亡くなっているからといって、お歳暮の受け取りを遠慮する必要はありません。ありがたく頂戴し、同額程度のお返しを用意するのがマナーとされています。
お歳暮のお返しについては、こちらのページで解説しています。
喪中のお歳暮は相手への心遣いを忘れずに
お歳暮は感謝の気持ちを伝えるための習慣です。
そのため、忌中の期間を避ければ、喪中の相手にお歳暮を贈っても問題ありません。
一方で、喪中の相手へお歳暮を贈る際は注意点もあります。
挨拶状の文面に祝いの言葉を避けるほか、のしや包装紙の選び方など、さまざまな場面で相手のことを配慮した対応が必要です。
日頃お世話になっている相手に感謝の気持ちを伝えるために、喪中のマナーを確認したうえでお歳暮を贈るようにしましょう。