おせち

2024.04.30

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おせちの中身はすべて縁起物! 料理にこめられた意味を知ろう

新年に神様を迎えて家族の健康や幸せを祈るためのおせち料理。
お正月にみんなで集まっておいしく食べるおせちは、色鮮やかで料理の種類も豊富です。

しかし、おせちの中身や各料理や食材の意味を知らない方も多いのではないでしょうか。
実は、おせち料理の一つひとつの料理には意味がこめられています。

この記事では、定番のおせち料理の中身とその意味について紹介します。

なお、おせちについての詳細は、こちらのページで解説しています。

おせち料理の品数と構成

おせちには一般的に20~30種類の料理を入れます。
品数は21や25など、奇数で盛り付けるのが好ましいといわれています。
これは昔から奇数が割り切ることができない数字として縁起がよいとされているからです。

一般的なおせち料理は、以下の5種類の料理で構成されています。

5つの構成と内容

種類 内容
祝い肴
(いわいざかな)
祝宴で出される肴
祝い肴三種と呼ばれる
口取り 会席料理で最初に出てくる料理
酒の肴といわれる
焼き物 海の幸を焼いた料理
一汁三菜の一つ
酢の物 酢漬け料理
焼き物の箸休めの役割もある
煮物 山の幸を煮た料理
縁起物の根菜類が使われる

定番おせち料理の中身

おせち料理には数多くの種類の料理が入っています。
一つひとつの料理には、さまざまな意味がこめられており、多くの食材は古くから伝わる縁起物です。

おせち料理を構成する5つの種類に分けて、おせち料理にこめられた意味を紹介します。

祝い肴

祝宴で出される肴のことで、祝い肴三種とも呼ばれます。
地域によって品目が少し異なり、関東における祝い肴の3つ目は田作りですが、関西ではたたきごぼうが一般的です。

関東・関西の祝い肴三種

地域 祝い肴三種となる料理
関東 数の子、黒豆、田作り
関西 数の子、黒豆、たたきごぼう

数の子

ニシンの卵を塩漬けにしたのが数の子です。
数の子は、卵の数の多さから「子だくさん」や「子孫繁栄」を意味しています。
また、ニシンを「二親」と当て字できることから、両親の長寿や健康を祈願する意味合いもある縁起のよい食材です。

黒豆

黒豆は、豆(まめ)にちなんで、「まめに働けるように」という願いがこめられています。
黒豆の黒い色から、日に焼けるほど勤勉に働く様子が連想されるともいわれています。

また、黒には邪気払いの意味があることから縁起のよいといわれる食材の一つです。

田作り

カタクチイワシの稚魚を干してから、醤油風味に甘く味付けした料理です。
イワシの肥料をまいた畑が豊作だったことにちなんでいます。

カタクチイワシを使った田作りは、豊作を祈願する縁起物の意味合いでおせちに入れられるようになりました。
田作りは別名「ごまめ」とも呼ばれ、ごまめは「五万米」と当て字されることもあり、五穀豊穣の願いがこめられています。

たたきごぼう

たたきごぼうは、ごぼうを煮た後たたいて食べやすくした料理です。
ごぼうは土に深く根を張ることから、家族の安定や繁栄が連想されます。

また、細くて長い見た目から、長寿祈願の意味もこめられています。

口取り

口取りは、会席料理で最初に出てくる料理のことです。いわゆる酒の肴を指しています。
おせちに口取りとして入れられる料理は、彩りのよいものが多いことが特徴です。

また、彩りだけではなく、形にも縁起物としての意味がこめられている場合もあります。
ここでは、口取りの料理について紹介します。

紅白かまぼこ

切ったときの形が半円となり、元旦の日の出に見立てられることから、お祝いの料理として親しまれています。
紅は魔除け、白は清浄や神聖さを表すとされ、邪気を払い一年の運気上昇を期待する意味がこめられています。

昆布巻き

ニシンや鮭などの魚を昆布で巻いて、かんぴょうで結んだ料理です。
昆布は「よろこぶ」の語呂合わせから、お祝いの料理には欠かせないものとされています。
「子生婦(こんぶ)」と漢字を当て、子宝に恵まれることを祈願する意味もこめられている料理です。

栗きんとん

栗の甘露煮と茹でたさつまいもを和えて作る料理です。
栗きんとんは、黄金色の色合いから金運や富の豊かさを祈願しています。
また、「勝ち栗」にちなんで勝負運の上昇という意味もあります。

また、黒には邪気払いの意味があることから縁起のよいといわれる食材の一つです。

伊達巻

卵と魚のすり身を合わせて、卵焼きのように巻いたのが伊達巻です。
伊達巻の見た目が巻物に見えるため、学業成就を祈願するという意味合いもあります。

また、伊達巻の黄色が金色のように華やかであることから、豊かで華やかな暮らしができるようにという願いもこめられています。

錦玉子

錦玉子は、茹で卵の黄身と白身を分けて裏ごしをして蒸した料理です。
黄色と白の二層の彩りは、金銀に例えられ華やかさや繁栄を象徴しています。
二色を錦(にしき)とする語呂合わせから、財宝や富に恵まれることを祈願する意味も強いです。

焼き物

海の幸である魚介類を焼いた料理のことです。
おせちの焼き物には、縁起がよいとされる魚を使用します。

鯛(タイ)

鯛を塩焼きにした料理です。
赤と白の鯛の色味が紅白の色合いになることから、お祝い事の象徴とされています。

また、鯛は「めでたい」の語呂合わせで縁起のよい魚として有名です。
長生きする魚であることから長寿を祈願する意味もこめられています。

鰤(ブリ)

鰤は醤油・酒・みりんで、照り焼きにするのが一般的です。
成長するほどに名前が変わる鰤は「出世魚」といわれ、縁起のよい魚として知られています。
立身出世を祈願する意味でおせちに入れる品目です。

海老(エビ)

おせち料理には、数ある種類のなかでも車海老や伊勢海老を使用するのが一般的です。
海老の長いヒゲと、腰の曲がったような見た目が長寿を連想させます。

また、脱皮を繰り返すことから、成長や発展を願う意味もこめられている食材です。

鮑(アワビ)

酒蒸しやバター焼き、煮付けなどにしておせちに入れます。
鮑は15~20年ほども長生きする生き物です。
縁起のよい食材として広く知られており、不老長寿を願う意味をこめて用いられます。

蛤(ハマグリ)

旨煮にして、おせちに入れるのが一般的です。
ぴったりと重なる対の貝殻は一つしかないといわれており、良縁や夫婦円満を祈願する食材として知られています。

酢の物

酢の物は酢漬けの料理のことです。
焼き物の箸休めとしての役割があります。
食材を酢であえることで、日持ちを長くしている側面もあります。

紅白なます

にんじんと大根を使って作る酢の物です。
にんじんの赤と大根の白は、お祝いで使用する水引の色合いに見立てられます。
大地に根を張る根菜の様子から、一家の平和を願う縁起物としておせちに入れる料理です。

ちょろぎ

ちょろぎはシソ科の食材で、漬物にして食べます。
見た目は白い巻貝のような形で、酢漬けし調理することで真っ赤な色に染まっています。
「長老喜」「長老木」と表記することがあり、長寿を願う意味がこめられた食材です。

酢レンコン

レンコンを輪切りにして作る酢の物です。
レンコンには複数の穴が空いていることから、見通しの明るい1年になるようにとの願いがこめられています。

また、レンコンの花は仏教で神聖な花とされる蓮の花です。
茎部分のレンコンも花同様に清浄なものとされ、おせちに入れるようになったといわれています。

煮物

山の幸である根菜類を使用した料理です。
おせちでは、根菜類のなかでも特に縁起のよいものが用いられています。

筑前煮

にんじんや大根、レンコンなどの根菜と鶏肉を一緒に煮た料理です。
「ん」が付く根菜は「運」が付くといわれています。
多くの具材を一つの鍋で煮込む様子から、家族が仲良く暮らすことを意味する料理です。

里芋

おせちに入れる場合は、煮物にするのが一般的です。
里芋は一つの種芋から多くの子芋や孫芋が付いていきます。
子孫繁栄を祈願する意味から、里芋の煮物をおせちに入れるようになりました。

たけのこ

たけのこは煮物料理にしておせちに入れます。
成長が早く、天に向けてまっすぐ伸びる様子から、子どもの成長や出世を祈願する意味がこめられています。
家運の向上の縁起物の一つです。

手綱こんにゃく

こんにゃくの真ん中に切り込みを入れて、手綱のように巻いて作るのが手綱こんにゃくです。
馬を制御するための手綱に見立てられ、自分の心を引き締めるという意味があります。

また、結び目が縁を結ぶとして、良縁を願う意味もこめられている料理です。

くわい

くわいは大きな芽が出るのが特徴的な食材です。
おせち料理に入れるときは、芽は切り落とさずに残しておきます。
「めでたい(芽出たい)」という語呂合わせから縁起がよいとされ、出世や向上を祈願する意味もあります。

ゆり根

おせち料理には含み煮や甘煮とするのが一般的です。
鱗片(りんぺん)が花びらのように重なり合っていることから、歳を重ねることを連想され、吉祥の象徴とされています。
重なった鱗片を子宝に見立てられることから、子孫繁栄を祈願する意味もこめられている食材です。

おせち料理に使う重箱の意味

おせち料理を盛り付けるのに使用するのが『重箱(お重)』です。
数段に積み重ねられる重箱には「福を重ねる」という意味がこめられています。

重箱への詰め方にはルールがあります。
おせち料理では、以下の表のように詰めるのが一般的です。

重箱の段数と料理の内容

段数 内容
一の重 祝い肴
二の重 口取り、酢の物
三の重 焼き物
与の重 煮物
五の重 空箱(神様から授かった福を入れるため)

多様化するおせち料理

最近は、おせち料理の種類が多様化しています。
洋風、中華風、和洋折衷など、おせちの種類や具材が豊富になっているため、集まる方々の好みに合わせることも可能です。

従来はおせち料理の中身は手作りが主流でしたが、より手軽に楽しめるように冷凍おせちの販売も増えてきています。
老舗の旅館や有名な割烹料理店などのおせちランキングや写真を参考にして、好みのおせち料理を購入するのもおすすめです。

また、少人数でもおせち料理を楽しめるように少人数用や一人用のおせち料理も販売されており、以前よりも気軽におせち料理を用意することが可能になりました。

縁起物を取り入れたおせち料理で新年を迎えよう

お正月に食べるおせちは、新しい年の幸福を願う特別な料理です。
おせち料理の中身には数多くの縁起物が取り入れられ、子孫繁栄や長寿祈願、邪気払いなどさまざまな意味がこめられています。

また、近年は冷凍おせちや少人数用のおせちの販売が増えたことで、より手軽におせち料理を楽しめるようになりました。

家族や友人とおせち料理の中身やそれぞれにこめられた意味を共有し、新たな気持ちで新年を迎えてみてはいかがでしょうか。