2022.01.21

「リチウム電池」は基本的に預けNG。予備バッテリーは機内持ち込みを!

スマホや携帯ゲーム機、デジカメ、タブレット、ノートパソコン…。旅行や出張の際、何かしらの電子機器を持っていく方がほとんどです。中には、予備の充電式バッテリーや替えの電池も持っていくケースもあるでしょう。 「リチウム電池」や「リチウムイオンバッテリー」などは、飛行機に搭乗する際、“機内への持ち込みはできるが、預け手荷物にすることができない”ケースがあるため、荷物のパッキング時に注意が必要です。少しややこしいので、このページで説明しましょう。(2017.11.29初稿掲載・2022.1.21更新)

預け手荷物・機内持ち込み手荷物の制限やルールを把握して、スムーズな搭乗を

意外と多い、リチウム電池で駆動する電子機器

まず、リチウム電池が何なのかを簡単に説明します。日常的に利用する身近なもの、主に電子機器にリチウム電池は使われています。
なお、「リチウム電池(CR、FR、BR)=基本的に使い捨て」「リチウムイオン電池(Li-ion)=基本的に充電して繰り返し使用」「リチウムイオンポリマー電池(Li-Po)=基本的に充電して繰り返し使用」があり、厳密にはそれぞれ区別されますが、このページではひとくくりに「リチウム電池」として表現します。


<リチウム電池が使われている一般的な電子機器の例>

スマートフォン・ノートパソコン・タブレット端末・電子書籍リーダー(電子ブック)・携帯電子ゲーム機・モバイルWi-Fiルーター・携帯音楽プレーヤー・携帯DVDプレーヤー・デジタルカメラ(一眼、ミラーレス、コンデジ)・デジタルビデオカメラ・カメラ機材・トランシーバー・腕時計・スマートウォッチ・電子タバコ・ドローン など(いずれも乾電池式を除く)


そのほか、AED(自動体外除細動器)やコードレスタイプの充電式掃除機、電動車椅子・電動移動補助機器を含む小型車両なども、リチウム電池をバッテリーとしているものがあります。また近年では、他の電子機器への充電、Wi-FiやBluetooth通信、GPSなどの機能を持つスマートバゲージも、リチウム電池が使われています。


なぜ「リチウム電池」は預けることができないのか?

リチウム電池(特に充電式のリチウムイオンバッテリー・リチウムイオンポリマーバッテリー)の主な特長を挙げてみましょう。


 1.高い電圧が得られる

 2.寿命が長い

 3.繰り返し充電に強く、短時間で充電できる


一方でデメリットもあります。内部ショートなどの不具合や劣化によって発熱や発火、爆発する恐れがある点、そして発火した場合に容易に消火ができにくい点です。バッテリーが熱くなった、バッテリーが膨らんだ、発火した、爆発した、といった事例が、世界中から少なからず報告されていることをご存知の方も多いでしょう。
もしも、空を航行中に飛行機の貨物室でリチウム電池の発熱や発火、爆発が起こってしまったら…。
気圧の変化や外部からの衝撃などによって、万一リチウム電池が破損・不具合を起こしてしまうと、発熱や発火のリスクが高まります。そして、貨物室のスーツケースの中で発熱や発火が起きても、早期発見が難しく、他の荷物はもちろん飛行機全体、人命にまで影響が及ぶ危険性が出てきます。そのため、リチウム電池を預け荷物とすることには制限が設けられているのです。


預け不可なのは、予備バッテリーなど単体のリチウム電池

例えば、電源のない屋外で、長時間のビデオ撮影をする、ノートパソコンやタブレットを長時間使用する場合、取り替えて使う予備のバッテリーを持っていくケースがあるでしょう。スマートフォン用の充電式予備バッテリーや、ドローンを利用するためにたくさんの予備バッテリーを持っていく方も増えています。

これらのリチウムバッテリーを使用する電子機器の場合、予備のバッテリーは預け荷物にすることができず、制限の範囲内で機内持ち込み手荷物とする必要があります。

カメラなどで使用する使い切りのリチウム電池(CR123A、CR2など)や、腕時計や計算機などで使われることが多いボタン型(コイン型)のリチウム電池など、充電式ではなく使い捨てのリチウム電池も同様で、単体であれば預け荷物にはできず、機内持ち込みとなります。

なお、リチウム電池が電子機器本体に内蔵されている場合、制限の範囲内であれば預け荷物にできるものもあります。また、機内に持ち込めるといっても、制限があります。以下にJALの例をご紹介します。


【リチウム電池】

リチウム含有量により取り扱いが異なります。

【リチウムイオン電池】

ワット時定格量(Wh)により取り扱いが異なります。

※ワット時定格量(Wh)= 定格定量(Ah)× 定格電圧(V)

【リチウム電池、リチウムイオン電池を内蔵・装着した手荷物(スマートバゲージ*1)】

一般的な旅行で電子機器を持っていく場合、リチウム電池の機内持ち込みおよび預け手荷物の制限をオーバーしてしまうことはあまり考えられないと思われます。仕事や趣味のために多くのリチウムバッテリーを必要とする場合は、制限の範囲内で機内持ち込み荷物にしましょう。

ちなみに、一般的なノートパソコンのリチウムイオンバッテリーは、おおむね30Wh~65Whくらいです。


パソコンを預ける場合、電源オフでしっかり梱包を。ただし、海外ではNGな場合も

ノートパソコンやタブレットなど、貴重品に該当するものは、空港の手荷物カウンターで預けず、機内に持ち込みましょう。なお、空港の保安検査場では、パソコンやタブレットは備え付けのトレーに取り出して保安検査を受けください。
どうしてもノートパソコンやタブレット、デジタルカメラなどのリチウム電池で駆動する電子機器を預け手荷物にする際は、電源を完全にオフ(スリープモード不可)にし、衣類などで外部からの衝撃や誤動作を防止する対策を取って頑丈なつくりのスーツケースに収めましょう。また、念のため不燃性素材でつくられたケースや袋にそれらの電子機器を収納しておくと、なお安心です。

ちなみに、少しでも機内持ち込み手荷物を軽くするために、ノートパソコンのバッテリーを取り外し、本体は機内に持ち込み、取り外したバッテリーは預け手荷物へとすることもできません。その逆で、バッテリーを機内持ち込み、本体を預け手荷物とすることは可能です。

ただし、国際線および海外の空港、海外の航空会社では、制限がより厳しい場合があります(本体に内蔵されているリチウム電池が制限値未満でも預けられないなど)。利用する航空会社や空港などに事前確認をしておくと良いでしょう。


(記事の内容は2022年1月現在のものです。制限の基準や内容は適宜変更される場合がありますので、必ず事前に利用航空会社や空港にご確認ください)