シャトー案内
“メドック5大シャトーの筆頭”とされているのが、シャトー・ラフィット・ロートシルト。1855年のメドックの格付けで、「グランクリュ第1級の中の1位」にランクされてから、今日まで王座の地位に君臨し続けている、まさに世界最高峰のワインです。
その名声と伝統に驕ることなく、熱心に研究に取り組む姿勢と努力で、今なお品質向上を目指しているラフィットは、“フランスの誇り”とも言える名門シャトーなのです。
このワインの美味しさを世に知らしめたのは、ルイ15世に寵愛されたポンパドール夫人だと言われています。ラフィットの素晴らしさに魅了された夫人が、毎夜催されるヴェルサイユ宮殿での晩餐会にこのワインを登場させたことで、王室御用達のワインとなったのです。そして、ルイ15世が嗜む「王のワイン」として、瞬く間にフランス貴族のステータスシンボルになっていったのです。それまではブルゴーニュワインを愛飲していたフランス宮廷の貴族達に、メドックワインの素晴らしさをを知らしめたワインでもあるのです。
ワインの味わいは、五大シャトーの中で最も“繊細でエレガント”とされ、“高貴なつつしみ”とも言うべき奥深さがあります。深みある色、洗練された気品あふれる香り、きめ細かく絶妙な味わいは、まさに「王のワイン」と呼ぶに相応しいものなのです。日本でも、国賓を迎えての宮中晩餐会で供されるワインとして採用されているのですから、その品格の高さが窺えるでしょう。
また、賞賛を浴びる味わいになるまでに長い時間がかかるのもラフィットの特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が非常に高いため、若いうちは香りも閉じ、味も渋くてガチガチとした印象を受けてしまいます。
しかし、それが10年、20年と寝かされていくと、驚くような豹変ぶりを見せてくれるのです。シガーや西洋杉を思わせるような洗練された優雅な香りが立ちのぼり、まろやかなタンニンが優しく舌を包み、華麗できめ細かい味わいに圧倒されるようになります。さらに、エレガントな余韻がいつまでも続くかのように感じられるのです。この至福のひとときを味わうためには、最低でも10年、出来れば20年寝かせたものを飲んでみてください。
「このワインが、ヴェルサイユ宮殿での晩餐会に登場して“王のワイン”と呼ばれた時代に思いを馳せながら、優雅な香りとエレガンスを極めた深い味わいに酔いしれる。」
シャトー・ラフィット・ロートシルトとは、まるでフランス貴族の仲間入りをしたような、この上なく贅沢で優雅な時間をを過ごさせてくれるワインです。